末梢性顔面神経麻痺
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ベル麻痺が最も多く、次いでラムゼイハント症候群が多い。
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ラムゼイハント症候群のほうが予後不良の傾向にある。
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ENoG検査結果が40%を超えない場合(中等症以上)は、後遺症の可能性が高く、適切なケアが必要となる。
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重症(10%未満)の場合は後遺症が必発のため、予防が必須となる。
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後遺症発症予防(軽減)のためには、表情筋トレーニングが必須となる。
治療戦略
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まずは耳鼻科受診にてステロイド治療。
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ステロイド治療後から鍼施術を開始。
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予後判定のために10日~14日以内にENoG検査を受ける。
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セルフケアを毎日実施。
施術内容
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鍼施術:神経走行、表情筋、関連する経絡
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表情筋への後じゅうねん(もみほぐし)
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表情筋トレーニング(ミラーバイオフィードバック法)
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セルフケア指導
ポイント
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急性期(発症10日程度)は、外見上は増悪傾向となる可能性が高い。
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重症度と回復時間は比例する(軽症1ケ月程度、重症6ケ月以上)。
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後遺症出現後も加療を継続することで回復の可能性が高まる
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適切なケアを実施しない場合、後遺症が強く出る可能性が高まる。
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自己流での表情筋トレーニングは増悪因子となることがある
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中等症以上は発症から1年程度までは、後遺症発症のリスクが高い。
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通電は後遺症誘発因子となるため禁忌(当院ではしません)。
アドバイス
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柳原法では予後判定の信頼性が低いため、明らかな軽症例を除き、ENoG検査が必要です。適切な検査時期を逃すと正確な計測が出来ず、ENoG検査は不適となります。ご注意ください。
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ENoG検査結果が軽症(>40%)と判断された場合にあっても、一ヶ月を経過して治癒の兆しがみえず、予想よりも症状が重い場合、一般的な臨床経過ではないと考えます。早期からの加療開始をおすすめしています。
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病的共同運動などの後遺症が重度となると、表情筋トレーニング自体が困難となります。早期からの加療開始をおすすめしています。
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時間経過とともに治療成績は下がる傾向にあります。「とりあえず経過を見て、ダメだったら鍼でも受けよう」という判断はおすすめしていません。素人によるセルフケアや表情筋トレーニングは難しく、不適切な方法は増悪因子となります。ご注意ください。
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中等症以上では、表情筋の回復に合わせて病的共同運動(後遺症)が出現してくる可能性が高く、重症例では必発とされています。適切な加療を継続することで「後遺症予防・軽減」の可能性が高まります。逆に、適切なケアを実施しない場合は、増悪する可能性が高まります。