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こっている筋肉に鍼をすると痛い理由

更新日:2021年10月24日

鍼をすると無痛ではないことは、鍼を受けたことがない方でも何となくわかると思います。鍼施術時において、一定量の鍼感(ずーんとするような感じ等)があることは悪い意味ではありません。もちろん、こっている筋肉に対して鍼をした時に鍼感が出る場合も悪い意味はありません。


では、なぜこっている筋肉に鍼をすると「痛い」と感じやすいのか?いくつかの理由を説明したいと思います。主な原因は以下のとおりです。


痛みを感じる理由:

  1. かたい筋・筋膜を貫く時の刺入痛

  2. 局所単収縮反応(LTR)

  3. 痛みの再現

1.かたい筋・筋膜を貫く時の刺入痛:

かたい筋・筋膜を貫く時、強い抵抗を感じた後に鍼がズンと入ってくる感覚があるはずです。鍼を操作している施術者にも同様の感覚が伝わってきています。人体に鍼が入ってくる感覚を強く感じやすいため、「痛い」と感じやすいといえます。もちろん、血流が改善し、本来の柔軟性を取り戻した後は、この刺入痛は軽減されていきます。


2.局所単収縮反応(LTR):

また、筋・筋膜上のトリガーポイント(TP、いわゆるコリ、悪いところ)に対して鍼が当たると、圧刺激によって筋肉がビクッとなります。この際、関連する一つの筋肉がビクッとなる(収縮)ことから局所単収縮反応(LTR)と呼ばれています。急激に筋肉が収縮するため、慣れないうちは「痛い」と感じやすいと言えます。また、LTRによって筋・筋膜リリースが起こると言われており、けっして悪い反応ではありません。また、数mmのTPに対して鍼を当てるということは、技術的に高度であると言えます。


3.痛みの再現:

そして、一連のトリガーポイントへの刺激や鍼感によって「痛みの再現」が起きることが一つの指標とされています。この「痛みの再現」とは文字通り、患者さんご自身が抱えている症状(肩こりであれば肩こり)と同じ「感覚(痛み)」がよみがえるように再現されることです。一時的に悪化したように感じますが、的確に鍼先が当たっている証拠と言えます。


ちまたでは、鍼感やLTRを感じない方がよいというイメージや、痛みがある場合は鍼灸師の腕(技術)が悪いと考えられがちですが、決してそのようなことはありません。実は、鍼の適切な刺激が行われていない場合、鍼感やLTRは生じません。とくにLTRを起こすためには高度な技術が必要なのです。担当した鍼灸師が的確にLTRを起こせるようであれば、「(技術的に)腕の良い鍼灸師」と言えるわけです。

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