鍼灸院では問診が主体
当院は鍼院(はりのみ取り扱い)です。「施術所」のカテゴリーに分類されていて、病院やクリニックなどの「保険医療機関」ではありません。主に鍼灸師が管理・施術を行っています。そのため、レントゲンなどの検査機器による高度な検査や、病気の診断は行えません(診断行為は医師のみ可能)。
そのため、患者さんが来院された際には、以下のことをまず聞きます。
・どのような症状か?
・いつから始まったか?
・病院へ行ったかどうか?
・(病院へ通院中であれば)現在どのような治療を受けているか?
etc...
ひととおり問診をしたあとに、保険適応できるかどうか?の判断をしてから、必要であれば保険の手続きの説明を行います。また、保険適応が難しい場合は、自費による施術の旨をお伝えします。
施術所では、患者さんの主観的情報(subjective)に頼る部分が多く、患者さんご自身が症状・病歴などの経緯を正確に把握している必要があります。しかし、すべての方が経過・経緯を正確に把握しているわけではありません。
病名などは把握しておくべき
病院へ通院し治療中の方でも、大多数の方はご自身の病名や傷病などをあまり把握していません。「かかりつけ医の先生からは何も言われなかった。」と繰り返される方が多い印象です。実は、病院で健康保険利用による治療を受ける際には、「(現時点での)病名」が必ず付けられています。そのため、ご自身の状態(病名や今後の経過など)をしっかり把握し、医療者まかせにしないようにしましょう。必要であれば、しっかりと質問するべきです。
けっして「鍼灸院で情報が必要だから把握しておかなければいけない」ということではありません。 よくわからないけれどとりあえず薬は飲んでいる。よくわからないけれどとりあえずリハビリに通っている。といった状態は好ましくありません。
医療の主体はあなた(患者さん)です
医療業界は、以前のパターナリズム(父権主義:医師主体の医療)から患者主体の医療に変わってきています。そのため、医療者は適切な医療情報を患者さんに提供する必要があります(インフォームドコンセントの実施)。また、患者さんは適切な医療情報を得た上で、ご自身の意思決定に基づいて治療(施術)を受ける必要があります。
最終的な意思決定はあなた(患者さん)がしているということに他なりません。そのため、「言われなかったからわからない」「聞きづらかったから聞かなかった」「わからないからそのままにした」ということはご自身のために避けるべきです。
そして、なによりも治療(施術)や検査の過程でリスクにさらされるのはあなた(患者さん)自身です。
ただし、、、グーグル病にはならないで!
前述のとおり、「患者主体の医療」が推進されていますが、「患者主体の医療」という言葉が誤解を招くことも多々あります。例えば「グーグル病(google-itis)」などが有名です。
「グーグル病」とは、インターネット(検索エンジンといえばグーグル!)などで得た知識を基に「自分は大病だ!」と気に病んだり、「ネットで調べた治療方法と違う!」といって治療方法を指示したりといったもので、俗に言う「素人判断」です。
とくに鍼灸に関しては、研究などが盛んな欧米(アメリカ・ドイツなど)や東アジア(中国・韓国)とは違い、日本国内で得られる文献などの研究報告は少なく、一般の方が自ら研究論文を検索しない限りは、正しい情報自体を得ることはありません。ましてやWIkipediaなどの真偽不明のネット情報や、知人の体験談などはあまり価値がありません。
そのため、適切な場所(専門機関)で、適切な人(専門家)から、適切な情報(医療情報)を得るようにすることが大切です。
最後に
鍼灸の場合は、原則自費のためか「鍼施術の料金が高いか安いか」は皆さんよく気にされます。しかし、もっと重要な「ご自身の体の状況(病名・傷病名など)」「今までの治療内容などの経緯・経過」、そして「鍼施術の内容」に関してはあまり執着がない印象です。治療(施術)を受ける上で、上記のことはしっかり把握しましょう。