中国から日本に戻ってくると、「肩こり」と「冷え性」の患者さんが多いことに驚きます。中国人の先生からは、中国で肩が痛いは「五十肩(肩関節周囲炎)」、日本で肩が痛いは「肩こり」と言われた話を思い出しながら治療にあたっています。
日頃マッサージなどの徒手療法や、ストレッチで体をケアされている方でも、肩こりで来院される場合が多々見受けられます。肩こりの主な原因は「僧帽筋」と「肩甲挙筋」の場合がほとんどです。僧帽筋はリュックサックなどを掛ける両肩の盛り上がった筋肉です。そして肩甲挙筋は呼んで字のごとく、肩甲骨を持ち上げている筋肉で、首(頸椎)から肩甲骨の上角(てっぺん)に付いています。この二つの筋肉が何らかの原因で硬くなると、肩に痛みが出てきます。これが肩こりです。
凝り固まった筋肉は、押したり、擦ったりしてもなかなか柔らかくなりません。逆に強く押したり、叩いたりすると、痛みや緊張のため、局所は虚血状態になり、より固くなっていきます。また、ストレッチなどを行っても、筋肉の中の固い部分(柵状硬結)はなかなか伸びて柔らかくなってくれません。
肩こりの場合、鍼治療では、肩の筋肉を鷲掴みにして鍼を筋肉に入れたあと、扇状に抜き差しをして行きます。そうすることによって、鍼先で硬結部位を探しながら、刺激を与えていきます。そうすることによって筋肉が次第に柔らかくなっていきます。
もし、鍼先がトリガーポイント(TP:Trigger Point)に当たると、「ぴくっ」「びくっ」といったように、筋肉が自動的に収縮します。これは良性の反応で、コリが強い人では、何回も連続して筋肉が跳ねます。これは専門用語で「局所単収縮反応(LTR:Local Twitch Responses)」といって、術者のみならず患者さん自身も効果が実感できます。「局所単収縮反応」が起きると、硬結は消失して、周囲の血流量があがり、痛みが解消されていきます。最初は鍼を刺入時に抵抗があるような硬さの筋肉でも、何回か治療を継続することによって、徐々に本来の柔らかさを取り戻していきます。
鍼治療は直接問題の部位(コリ)に鍼先を持っていくことができるため、
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