ストレスなどで下痢や便秘を繰り返す?もしかしたら過敏性腸症候群(IBS)かもしれません。
緊張したり、ストレスでおなかが痛くなってトイレに駆け込むような場合ってありませんか?特に毎回食事をとった後に便意をもよおすなど習慣性の場合は、もしかしたら過敏性腸症候群(IBS)かもしれません。
過敏性腸症候群ですが、読んで字のごとく「過敏」な反応から症状がでるため、そくトイレといった感じになりやすくなります。「私は下痢じゃないから・・・」という方もいますが、下痢=過敏性腸症候群というわけではありません。というのも、「便秘型」「慢性下痢型」そして「混合型」というように分類されています。
この過敏性腸症候群ですが、機能性の消化管異常(神経系・ホルモン系などの調節異常)によって引き起こされたもので、胃潰瘍やその他器質的な問題(腫瘍形成だとか外傷など)によって起きているわけではありません。鍼灸治療は基本的には器質性疾患よりも機能性疾患に対する効果が期待できます。鍼灸治療の適応疾患の一つといえるでしょう。
新旧治療ではどこのツボを使うのでしょうか?下腹部や腹部の局所的な方法と経絡的な流れや経験則に基づいた遠隔取穴と解剖生理学に基づいた方法を混ぜ合わせて使います。例えば・・・
1)局所:
天枢(へそから左右に2寸脇)・水道(左下腹部)・帰来(左下腹部)・外水道(水道から少し左外側)・外帰来(水道から少し左外側)・中院(おなかのど真ん中)・関元(へそ下3寸)など
2)遠隔:
・足三里(胃腸など消化管の調整)・上巨虚(大腸と関係)・下巨虚(小腸と関係)・中院(胃腸によい)など
3)解剖生理
八髎穴(おしりの骨の上に左右4箇所づつ・骨盤内臓神経などへ)など
4)下痢(加減配穴)
陰陵泉(水代謝によい)・豊隆(水代謝によい)・水分(水代謝によい)など
5)便秘(加減配穴)
支溝(便通によい)など
6)ストレス
百会(頭をすっきり)・四関穴(滞った気を回す)・神門(ストレスにはここ)など
実際の下痢・便秘に対する鍼灸治療では、加減配穴(症状によって少し足すツボ)を除くと大体同じようなツボを選びます。ではなぜ同じようなツボを選ぶのでしょうか?それは鍼灸治療の効果に「双方向性の調節作用」が含まれているからです。下痢も便秘も調節作用の異常ですから、調子を整えることによって正常な働きに戻すといった考え方です。
こういった消化管の異常で悩んでいる場合は、適切な医療機関で検査・診断をしましょう。内臓の問題は、素人ではわかりません。また、鍼灸治療を希望する場合も、先に医院やクリニックを受診することをおすすめします。