ダメージを負った神経は再生しないが、機能回復は望める。早期からの鍼灸併療も有効。

ダメージを負った神経は再生しないが、機能回復は望める

何らかの理由、、、例えば脳卒中などで神経組織(脳・脊髄・その他)がダメージを負うと、運動麻痺や感覚障害がおこります。また一般的に、一旦ダメージを負った神経組織が再生することはありません。そのため、一部だけではなく、深刻なダメージを負った神経が元にもどることはありませんが、リハビリなどを行うことによって症状が改善されていくといった現象が起きます。


「再生しないはずなのに、、、なんで症状が改善するの?」と思う方も多いかと思います。


実は、健康な神経組織がダメージを負った部位の代わりとなって、神経ネットワークを構築して、失われた機能を補ったりしながら徐々に身体機能を回復させていきます。こういった機能補完によって「機能回復」が起きているのです。


治療介入時期が早ければ早いだけ予後が良い

治療介入時期が早ければ早いだけ予後が良いと言われています(相対的な意味で)。


脳卒中を例にとると、一般的には発症から180日までを回復期といって、回復がしやすい時期と言われています。現行の保険制度では、脳卒中のリハビリは180日と制限があり、この指標も「回復期までが一番回復しやすい」といった考えから来ています。回復期を越えると後遺症期となり、一般的には「麻痺肢の状態の維持(または機能回復)」や「健康肢によるサポート強化」などを目標にしたリハビリを行います。


もちろん、中には、回復期を過ぎた段階からでも症状が好転するという例もありますが、初期の頃から「空間(時間)と質(量)を考えた治療介入をすること」が重要となります。


空間(時間)と質(量)を考えた治療介入が重要

たしかに、患者さん個別でみると、人によっては傷病の程度が軽度であったり、麻痺が深刻であったりといった具合に症状や体質によって傷病の程度、個別の予後は大きく異なります。


しかし、どの方にとっても言えることは、「空間(時間)と質(量)を考えた治療介入が重要」ということです。空間(時間)でいえば、前述したとおり「早め早めを意識すること」によって「機能回復を最大限にいかすこと」です。また、質(量)でいえば、「(保険・自費問わず)効果があることは最大限利用し、大幅な機能回復が望める時期に出来るかぎり行う」ことが重要となります。もちろん、リハビリの時間はリハビリ室の中だけではありません。課題を持って自宅で取り組むことも重要です。もちろん、鍼灸療法も有用です(日本では原則自費)。


やれることは全てやる

「適切な処置を最大限行うことによって、効果を最大まで出す」ことが重要です。「完全に麻痺が治るか、治らないか」または「保険適応だから、、、自費だから」といったことだけで治療介入をするかどうかを決めるべきではありません。少なくとも180日、出来れば12カ月間は、積極的な治療介入をするべきです。


中には、回復期を過ぎた段階からでも症状が好転するという例もあり、「諦めずに続けてよかった」ということも珍しくありません。また(脳卒中などで)保険が不適応となってしまった場合でも自費によるリハビリやケア(鍼灸など)を継続することによって状態を維持し、QOL(生活の質)を改善し、悪化を予防することも必要です。


脳卒中後遺症など運動麻痺に対する鍼灸

前述したように、脳卒中による運動麻痺などには鍼灸療法が有効と言われています。私が留学していた天津中医薬大学の第一付属病院で開発された「醒脳開竅法(せいのうかいきょうほう, xing nao kai qiao fa)」が世界的に有名です。同法は、同大学病院の石学勉教授によって開発された方法で、脳卒中後遺症だけではなく、様々な運動麻痺に応用されています。


同大学病院国際リハビリセンター(鍼灸科)の保有するベッド数は全国鍼灸科(中国)の40%を占めており、ほとんどが脳卒中による患者治療のために使用されています。http://www.chuui.co.jp/chuui_plus/001587.php


また、「老病人(lao bing ren)」と言って、中長期的に通院している患者さんも多く、機能回復や状態維持に鍼灸療法が活用されており、外来者数だけでも2000人以上/1日となっています。


最後に

脳卒中に対するリハビリ日数制限を例に、保険適応だけでは状態維持や機能回復が最大限行えない可能性があるといった声が上がっています。


後遺症期以降も、麻痺肢の悪化などによる二次的な傷病(転倒など)発生を防ぐことや、機能改善・強化による自立活動範囲の延長などQOLの向上が重要です。


また、神経損傷による運動麻痺などは、慢性疾患(症状がプラトー)と違い、ステージを意識した早期からの治療介入が必要です。状況に合わせた自費併療も考えてみてはいかがでしょうか?

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