ドライニードリング(トリガーポイント)の紹介。肩こりにはこれ!

ドライニードリング(dry needling)という方法をご存知ですか?これは、本来は鍼療法の別名ですが、伝統的な経絡を用いた鍼療法(acupuncture)と分けるために、ドライニードリングと呼ばれています。※薬剤注射は「ウェットニードリング(wet needling)」


ドライニードリングは解剖学や運動生理学に基づいた「トリガーポイント(こり)由来の痛みに対する鍼療法」となっていて、障害されている筋肉を刺激して「疼痛緩和」を行う方法です。


当院でも「肩こり」や「筋緊張型頭痛」などの筋・筋膜由来の障害に対し、ドライニードリングを用い、症状改善を図るようにしています。


アメリカでは、鍼灸師のみならず、理学療法士(PT)に上記の方法が限定的に解禁されており、需要の高さがうかがえます。


最近放送されたNHK「ためしてガッテン」の鍼灸特集でもドライニードリングが紹介されていました。

http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20190220/index.html


コリにヒットすると筋肉が動く

コリに鍼先がヒットすると、特徴的な筋肉の躍動(ムービング)が見られます。これを専門用語では「局所単収縮反応( Local Twitch Response, LTR)」といって、刺激の指標とします。


肩に対するドライニードリングとLTR

1) Trigger Point Dry Needling Local Twitch Response

https://www.youtube.com/watch?v=BYO4Bu4y-5Q

2) Dry Needling twitch response

https://www.youtube.com/watch?v=xRbyQA-HPoU

解説:肩の筋肉(僧帽筋)はLTRが起きやすく、反応があった直後から症状緩和がみられる場合が多く、臨床でも応用されています。上記の動画では、グローブが掴んでいる部位が僧帽筋です。そして鍼を刺入後、術者が前後に鍼を動かすと、患者の首から肩にかけて筋肉の躍動が起こります。


コリの強い方やコリの多い方では、数回から数十回とムービングを繰り返します。施術者は反応が収まるまで刺激を繰り返し、コリを解除していきます。


局所での反応

局所での反応

1) Strong Local Twitch Response (LTR) by A-IMS

https://www.youtube.com/watch?v=a2PgLfO7vDg

解説:鍼先がコリにヒットすると、LTRが誘発され、正常な筋繊維の状態へと戻っていきます。自覚症状としては「筋肉の躍動」や「筋肉の躍動に伴う関節運動」、「コリの消失(柔らかくなる)」などが起きます。


LTRによる筋肉の躍動は痛みを伴わず、不思議な感覚です。患者側もLTRによって反応を自覚できるため、比較的満足度は高い印象です。


また、コリがない場合はLTRは起こらず、鍼はソナーとしての役割も果たしています。


筋中のコリにはなぜ鍼なのか?

何故こういったコリ(硬結, トリガーポイント)に対し、鍼療法が盛んであるか?という疑問が少なからずあると思います。「体表から電気を流してはいけないの?」「圧したり揉んだりではだめなの?」と思われる方も多いかと思います。


じつはしっかりとした理由があるのです。


重要なポイントは「直接的にコリを刺激できるかどうか?」となります。もちろん体表面からの刺激でも一定の効果がある可能性はありますが、筋中のコリを直接的に解除するためには鍼療法が最適であると考えられています。


他療法で深部に刺激を与えることはほぼ不可能

1)電気療法:

人体は水分量が多く、アース(電気を流す)のような作用があり、体表から内部まで電気刺激を届かせるためには強出力が必要となります。当然、皮膚表面の知覚神経が強烈に刺激されて、相当の痛みを伴うため、現実的ではありません。


2)温熱療法:

深部を強烈に温めるためには、体表面を更に強烈に温める必要があります。温めすぎは痛みを伴う可能性や、やけどの危険性があります。また、人体にはホメオスタシス(生体恒常性)というバランスを調節する機能があり、過度な熱刺激を加えれば「冷やそう」としたり、過度な寒冷刺激が加われば「温めよう」とするため、このホメオスタシスを超えた刺激を与えることは、なかなか難しいと言えます。


3)徒手療法:

筋中のコリを徒手でつぶして柔らかくするためには、強刺激が必要であり、健康的な表層の筋繊維も押しつぶされます。そのため相当の痛みを伴うため、痛みによって緊張が高まり、逆効果(交感神経興奮による筋緊張→虚血→痛みの増悪)となる場合があります。俗にいう揉み返しです。


4)薬物療法:

深部のコリからくる「痛みの悪循環(慢性的な痛みの原因)」には鎮痛剤の服用では効かない場合が多く、病院ではトリガーポイント注射などブロック注射療法を行うことがあります。これは俗にいう「ウェットニードリング(wet needling)」という方法で、直接的な「痛みの悪循環」の解除が可能です。もちろん「ドライニードリング」と併用することによって相乗効果を高めることができます。


上記の理由で、「ドライニードリング」や「ウェットニードリング」が選択される場合が多いと言えます。


最後に

鍼療法は経絡やツボ(経穴)のみを刺激して「全身調整」のみを行う療法ではありません。現代医学的な「ドライニードリング」のような方法も鍼療法の一つとして行われています。筋・筋膜由来の疼痛には本稿で紹介した「ドライニードリング」がよく効く印象です。


慢性的な肩こりや緊張型頭痛の方はご相談下さい。「ドライニードリング」が症状改善の助けになるかもしれません。

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