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  • 執筆者の写真三焦はり院

パーキンソン病患者の代替補完医療利用

現代医療に対して、鍼灸療法は代替補完医療( Complementary and. Alternative Medicine , CAM)という位置づけにあります。世界的には按摩指圧マッサージやアーユルヴェーダ、アロマテラピーもCAMの一つと言えます。日本では、はり、きゅう、按摩マッサージ指圧、柔道整復が有資格で、カイロプラクティックや整体は無資格となっています。


専門の鍼灸師の先生から聞いた話しでは、諸外国におけるパーキンソン病(PD)治療にはCAMを併用しているということでした。


諸外国の利用例:

1)シンガポール CAM利用率61%(うち鍼51%)

2)アルゼンチン CAM利用率51%(うち鍼49%)

3)スウェーデン CAM利用率34%(うち鍼50%)


では、日本において、パーキンソン病患者の鍼療法利用率はいったいどれくらいでしょうか?大越(2007)の報告によると以下のとおりとなっています。


PD患者60名に対するアンケート結果:

1)運動療法・理学療法 55%

2)漢方薬の服用 11.7%

3)あんまマッサージ 11.7%

4)はり 10%

5)きゅう 3.3%


神経内科専門医からの回答(34/50名, 回答率68%):

1)運動療法・理学療法の 実施 76.4%

2)あんま、マッサージ治療の紹介・ 推奨 29.8%

3)音楽療法 17.6%

4)鍼治療の紹介・推奨 14.7%

5)漢方薬の処方 5.9%

6)低周波治療 2.9%

7)バッチフラワー療 法 2.9%


以上の結果から大越(2007)は医師・患者ともに運動療法・理学療法には積極的であるが、他の治療法の選択は少なかったと述べています。


上記3国に比べて、鍼療法利用率は非常に少ないと言えます。


鍼灸臨床において、PD患者のすくみ足や小刻み歩行など運動障害、そして便秘などの非運動障害に対して、鍼療法を実施すると改善がみられる場合があります。人によっては、刺した直後から改善されたと実感する場合もあります。当院ホームページ[特徴]でも紹介している、症例報告や研究論文と同じような経過をたどる印象です。


鍼療法は、運動療法と併用することが可能です。もちろん薬物療法とも相性が良いです。運動療法に取り組む前に、鍼施術を行うことによって、運動をしやすくなったり、疲労が残らなくなったりといった効果が期待できます。併用することによってリハビリがはかどるといったことが考えられます。


また、鍼療法によって症状改善を図ることによって、薬物療法がより有効(効きやすくなる、または効いている時間が増える)となるケースもあります。


PDの運動障害や非運動障害において悩まれている場合は、鍼療法などのCAMを実際に取り入れてみてはいかがでしょうか?


参考文献:

[1]大越 教夫(2007). パーキンソン病における補完代替医療に関する実施状況. 筑波技術大学テクノレポート . 3(14): 207-212

[2]刘云鹤, 刘阿庆, 他 (2013). 三焦针法治疗帕金森病的疗效观察. 中医药现代化国际科技大会.

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