中国では患者さんが紙カルテを持っている
以前、中国天津に留学をしていた時に、患者さんが紙カルテを持参してくることに驚かされました。カルテは中国語で病歴本(ビンリーベン, bing li ben)と書きます。血圧手帳やおくすり手帳ほどのサイズが一般的で、受診の度にドクター(または助手、研修生)から記入を受けます。病院では電子カルテに医療情報が保存されて、患者さんの手元にも紙カルテが残るシステムです。
紙カルテが手元にあることの利点は、患者さんご自身が治療内容や診断名を容易に把握することが出来ること、他科・他院へ行った際にも気軽にドクターにカルテを見てもらうことが出来ます。私が附属病院で研修をしていた際にも、「ちょっとカルテ見せて下さい」と患者さんに言えば、「どうぞどうぞ」と資料をたくさん見せてもらうことが出来ました。他にも、レントゲンやMRIのフィルムも患者さんご自身の手元に残るため、以前の状況がどのようなものであったかも容易に把握することが可能でした。手元に情報が残ると言うことは、記録の偏りや抜け落ちがあまりない印象です。
日本では、状況に合わせて画像検査結果やレポートが提供されることがあると思いますが、現病歴・主訴・診断・治療方針・治療内容などが記載されているカルテが都度提供されることはないと言えます。当院などの施術所では、医療機関とは違って画像検査などをすることは出来ません。そのため、得られる情報は問診・触診に限られます。ご自身のメモからお薬手帳やレポートまで持参してくれる患者さんもいらっしますが、「そういえば自分の病名はなんだろう?ドクターからはっきり言われてなかった、、、」「そういえばどこが悪いんだったっけ、、、忘れちゃいました。」といったことが度々起こります。こういった時、「個別管理のカルテがあると便利だなー。」と強く感じます。
鍼などを受ける際は、出来る限りお持ちの医療情報を持参してください。もちろん患者さんご自身で作成された記録などもお持ち頂けると非常に助かります。