五十肩には保険鍼灸がおすすめ。五十肩は中長期的なケアが必要。

五十肩は、鍼灸の保険適応である特定6傷病の一つです。適応症のなかでは、取り扱いしやすい傷病のため、保険利用を積極的にすすめています。なぜ保険の方がよいのでしょうか?五十肩の病態や経過と一緒に考えていきましょう。


五十肩とは?

五十肩の正式名称は、「肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)」です。肩周りの軟部組織(筋肉、靭帯など)の慢性炎症状態によって起こる疾患です。英語では「フローズンショルダー(凍結肩), frozen shoulder」といって、「肩が回らない」であったり「腕が上に挙げられない」といったことが起こります。一般的には、40歳以降の方に起こりやすく、「四十肩」や「五十肩」と言われています。


一般的に両側で同時に発症することは少なく、経過は数ヶ月から数年と中長期的に向き合っていく必要があります。罹患時期が数日、または1~2回の治療や施術で治るようなことはほぼありません。そういった症例は、もしかしたら「五十肩」ではない可能性が高いです。


五十肩の症状

主症状は、「関節可動域制限(凍結肩)」と「局所の疼痛(痛み)」です。この二つは関連が深く、急性期は「痛みによるる可動域制限(凍結)」が起き、慢性期以降は「慢性化した可動域制限による拘縮(凍結)」が主症状となります。そして、回復期以降はこの「拘縮」が残りやすく、炎症が治まったあとも後遺症として残存する可能性があります。


五十肩の経過

急性期は数週間、慢性期は数ヶ月(約6ヶ月)、回復期数ヶ月~数年といった経過を辿ります。1年半~2年の間に治癒する場合がほとんどです。


1)急性期:炎症による痛み(夜間痛・運動時痛・安静時痛)

2)急性期~慢性期:痛みによる可動域制限

3)慢性期:可動域制限による拘縮と痛み

4)回復期以降:後遺症としての拘縮


五十肩のケア

痛みには、「はりきゅう」や「温熱療法(電気療法など)」「薬物療法」を用います。可動域制限には「無理のないストレッチ」などを併用し、可動域の拡大や拘縮予防を行います。


問題となる「痛みの悪循環」

痛みが中長期的に残存する一番の原因は「痛みの悪循環」と言われている現象です。痛みが起こっている部位は慢性的な虚血状態となります。慢性的な虚血状態によって、、局所的に「疼痛物質」が発生します。この「疼痛物質」は更なる虚血状態を引き起こし、痛みを引き起こします。この負の連鎖が解除されないと「慢性疼痛」となり、消炎鎮痛剤の服用や、体表からの温熱療法ではなかなか痛みが取れなくなります。


痛みの悪循環:

1)疼痛物質発生

2)局所の血流障害(虚血)

3)疼痛物質の停滞

4)虚血による組織損傷などによって疼痛物質産生

5)更なる虚血状態

6)1~5の繰り返し


はりによるアプローチ

鍼療法は、性質上、直接的に「痛みの悪循環」を解除することが可能です。鍼先が患部まで直接届くことによって、急激な血流改善が行われ、同時に「疼痛物質」が流されていきます。「疼痛物質」がなくなると、痛みが消失または軽減するといった現象が起きます。これが鍼による鎮痛メカニズムの一つです。


はりを刺したあとの「響き(鍼感, 得気)」と皮膚面での発赤(フレア現象)が血流改善の目印となります。当院では遠赤外線治療器などを併用し、更なる血流改善を促し、「鎮痛効果」を引き出します。


そのほか、可動域制限にはストレッチを併用する必要があります。鍼を刺したままの状態で行うストレッチ(運動鍼)も効果的です。ストレッチも高度な装置なども必要が無く、自身のセルフケアも可能です。


薬物療法や温熱療法(ホットパックや電気療法)であまり効果がなかった場合などは一度「はり」を試してみることをおすすめします。特に、中長期的に鎮痛剤服用などで胃腸障害が出た場合などは、副作用のない鍼灸療法の方が向いていると言えます。


五十肩は保険鍼灸と相性がよい

保険鍼灸は、療養費(報酬1,540円,10割)の関係上、短い時間で施術を完了する必要があります。受傷箇所が広範囲にわたる場合や、着替えや準備に時間がかかる場合は、どうしても自費との混合が必要となります。※当院では自費も混合も1コマ総額3,000円


五十肩は(おもに片側の)肩関節周囲に限局した慢性炎症です。肩の露出だけで施術が可能です。着替えなどに時間がかからず、ある程度の施術時間が確保できます。


また、保険利用時にネックとなる「保険保険医療機関との併療不可」といった問題も、「消炎鎮痛剤」を「はりきゅう」に置き換えることによって解決が可能となります。消炎鎮痛剤で胃腸障害が起こりやすい方は、積極的に検討されてみてはいかがでしょうか?


五十肩の場合は、「急激な病状の悪化」は起きづらく、慢性的な経過をたどるため、あとから他の療法に切り替えてといったことはあまり起きません。鍼療法がよく効いた場合は、継続されることをおすすめしています。


最後に

「五十肩」を患うと、中長期に渡った通院が必要になります。


イメージと違って、結構しつこい傷病です。ある意味、患者さんと治療家泣かせと言えます。「なんで治らないのよ!」「ちゃんと通院しているのになんで良くならないの?」こういったことが容易に起こりえます。


前述したように、保険鍼灸との相性もよく、当院では「保険鍼灸」もしくは「混合鍼灸(他部位追加の場合)」をおすすめしています。保険利用によって中長期の通院が容易になります。また、医科提携のもと、ご希望に応じて、漢方などの選択も可能です(漢方専門医、内科専門医紹介)。


無料相談も行っています。ぜひお気軽にご相談下さい。(要予約)

最新記事

すべて表示

平素は当院をご利用いただきありがとうございます。 夏季休暇を下記のとおり頂いております。 サイト内告知が遅くなり申し訳ございません。 夏季休暇中は、電話は繋がりませんが、メールは対応可能です。 何かありましたらメールにてご連絡下さい。 夏季休暇: 令和4年8月11日~18日

鍼をすると、自律神経の副交感神経が優位になり「リラックス状態」になると言われています。そのため、鍼を刺したままベッドで安静にしている「置鍼・留鍼(ちしん・りゅうしん)」の最中には眠ってしまう方が多い印象です。よくカーテンの向こうからイビキが聞こえてきます。 「鍼を刺したままで痛くはないのか?」という質問を受けることがありますが、鍼が刺さった後は「するどい痛み」が持続することはありません。少しずーん

私は「絶対に治します。」「絶対に治ります。」「すぐ治ります。」とは明言していません。中には、「よくない鍼灸師(施術者)だ」と感じる方もいるかもしれません。 よく「同じ病気で悩んでいる患者さんは来られますか?」という質問をされます。病気だけで一括りにすると「はい。来ます。」と答えが出やすいですが、患者さんが本当に聞きたい答えは「来るか?来ないか?」といった簡単なものではなく、「その方はどういった経過