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  • 執筆者の写真三焦はり院

五十肩は肩こりなどの筋疲労とは全く違う。五十肩はそう簡単には治らない。

五十肩って?

肩が挙がらない。肩が痛い。何でもかんでも五十肩と呼ぶことがあります。肩こりの一種だと勘違いしている方もいるはずです。一般的に、肩こりは、姿勢の悪さや過緊張などによる筋疲労によって起こるものです。筋肉の疲れが取れれば、だるさや痛みは取れていきます。


しかし、五十肩は筋疲労が原因ではありません。五十肩は「肩関節周囲炎」と呼ばれるもので、加齢によって肩関節周囲の軟部組織が炎症を起こしたものです。肩関節への痛みから始まり、肩を上下左右に動かすことが出来なくなる、いわゆる「肩が挙がらない」状態になってしまいます(可動域制限)。


五十肩と筋疲労の大きな違い

五十肩と筋疲労による肩こり(や肩周りの痛み)は非常によく似ていますが、比べてみると特徴があります。


五十肩と筋疲労の大きな違いは、、、

・肩を自由に動かせるかどうか

・回復までの期間


1)肩を自由に動かせるかどうか

筋疲労の場合は単なる「筋肉の疲れ」または「それに伴う痛みやだるさ」のため、関節運動自体ができないことはまれです。しかし、五十肩の場合は、痛みやだるさは共通していますが、関節周囲の炎症のため、関節運動自体に制限が出ます。


2)回復までの期間

「前になった五十肩は数日でよくなったのに、なんで今回はこんなに長引くのだろう。」といった思いになることがあるはずです。


じつは、五十肩は数日でよくなることはまれです。筋疲労は数日から~数週間で痛みは徐々に緩和されていくはずですが、五十肩の場合は、数週間から~数ヶ月かけて痛みが増していきます。短くても数ヶ月、長い場合は回復までに数年かかることもあります。


もしかしたら前になった五十肩は「単なる筋疲労」だった可能性も否めません。「五十肩なのに何ですぐよくならない!」であったり「前はすぐよくなったのに!」といった認識は間違いです。もし「今回は長引いているな、、、」と感じた場合は、「単なる筋疲労」ではなく、「五十肩」の可能性があります。


長引く症状に悩んだら、、、

症状が長引くような場合は、病院を受診し適切な検査を受けましょう。まれに石灰が沈着している場合(石灰沈着性腱板炎)や、筋肉や腱が損傷を受けている場合(腱板断裂)もあります。疾患によっては、手術も必要な場合があるため、早期からの鑑別が必要です。


五十肩は鍼灸の保険適応症

五十肩は鍼灸の保険適応症です。また、五十肩は急性外傷ではないため、整骨院(接骨院)では保険適応とはなりません。※急性外傷は捻挫、打撲、骨折、脱臼などで受傷原因が明確なもの。


前述したとおり、五十肩の経過は長く掛かる場合がほとんどです。そのため、当院では可能な限り健康保険利用をおすすめしています。鍼灸では血流改善効果が期待できます。主に「痛みの緩和」や「関節の柔軟性の向上」が期待でき、ストレッチを併用することによって症状改善を促します。


最後に

(いかなる治療を受けていても)「単なる筋疲労(肩こりなど)」とは違い、経過は長引く可能性が高いと言えます。五十肩は、親しみやすい名前から誤解を受けやすい疾患ですが、簡単なものではありません。数日でよくなることはまれです。


もし、鍼灸で「五十肩」の症状改善を望む場合は、健康保険利用をおすすめします。間違っても「(鍼で治るかどうか)1回お試しで、、、」ということはしないようにして下さい。1回鍼をしただけですぐ完治するようなことはほとんどありません。


五十肩は時間が経てば治っていく疾患です。しかし、痛みやだるさによる生活のしづらさ、そして長期間の可動域制限による肩関節の拘縮(後遺症)は避けたいものです。たかが五十肩と思わずに、気長にケアしていくことが重要です。決して放置はしないようにしましょう。

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