top of page

五十肩(肩関節周囲炎)は基本的に治る?鍼灸治療をおすすめする理由って何?

五十肩で治療院に来られる方は多いと思います。日本において、治療院にかかる場合は、頚椎症・腰痛症・膝関節症・肩関節周囲炎(五十肩)が四大理由だと思います。おそらく、鍼灸整骨院などが大半ですので、スポーツ疾患・外傷ケアなどから整形外科的な治療を行うというイメージが強い理由もあると思います。

 

五十肩ですが、基本的には一定期間で治ります。そうなるとじゃあ別に治療しなくてもいいか!と言いたくなるところですが、そんなに簡単でもありません。治るといっても、程度によりますが、一~二年掛かることがほとんどです。この期間を五十肩の症状や痛みと付き合うことになりますので、「症状がおさまる=治る」といっても、何かしらの問題が出る可能性もあります。ではなぜ問題が出るのでしょうか?またどのような問題が考えられるのでしょうか?

 

五十肩の正式名称は、肩関節周囲炎です。また、凍結肩(フローズンショルダー)という呼び方もあります。この凍結肩ですが、名前どおり、肩の動きが悪くなってしまうため、凍結肩といいます。五十肩には主に三ステージを経過して回復に向かいます。第一に炎症期、次に凍結期、最後に回復期となります。

 

炎症期では「夜間痛(主に寝ている時や、明け方に痛くなる)」などが出て、痛みも非常に強い状態です。こういった急性期の場合は、柔道整復師(整骨院)などが急性炎症について専門的です。どちらかと言えば、炎症のある時期は安静にしたほうが良いと言えます。

 

この急性期を抜けた後、慢性的な凍結期・回復期に移行していきます。凍結期では、名前があらわすように、重だるさ・痛みなどによる運動制限が強くなりますので、痛みをとったり、温めたり、運動を行ったりしていきます。これは、動かさないでいると「拘縮」といった「動かなくなってしまう」という現象がおきてしまうためです。この「拘縮」がやっかいですから、「拘縮」をいかに起こさないかといった点が「五十肩治療の要点」となってくるのです。

 

では鍼灸治療はどういったことを行うのか?利点は何か?といったところが関心事だと思います。鍼灸治療では、主にこの慢性期(凍結期・回復期)に肩関節周囲の筋肉などの軟部組織に対し刺鍼やお灸をすることによって、痛みのケアや筋肉の血流量をあげることによって可動域制限を高めることによって拘縮を予防していきます。また、痛みが減少するということは、生活の質(QOL)の面からみても有用です。

 

肩回りの筋肉は、三角筋・棘上筋・棘下筋・大円筋・小円筋・肩甲下筋などが治療目的筋になります。

 

ツボで言えば、七星台(肩甲骨・背中まわり、七つのツボの配置が北斗七星のようにみえるためこう呼ぶ)・肩三鍼(三角筋の前部・中部・後部線維に一か所筒)・肩中(三角筋のど真ん中)・臂臑(三角筋の付着部位)などを使っていきます。

 

その他にアイロン体操(コッドマン体操)などでセルフケアを行うことが重要です。やりかたは痛みのある側にアイロンなどを持って、上下(体の横)左右(体の前)にブランブランと体のゆれに合わせて動かすだけです。詳しいことは「アイロン体操」「コッドマン体操」などで検索すれば、動画や画像が見れると思います。

 

慢性的な五十肩でお困りの方は、一度鍼灸治療なども検討されてみてはいかがでしょうか?

最新記事

すべて表示

麻痺に伴う代償運動が及ぼす影響

運動麻痺の回復期を過ぎた後、身体機能が悪化していくことがあります。とくに、不完全治癒の場合、加療を中断した後、一定期間が経つと運動機能の低下が生じ、中断時点よりもより悪くなる傾向にあります。その原因の一つが「代償運動(だいしょううんどう)」によるものです。...

五十肩と訴える症例の考察

何らかの原因によって肩関節周囲の軟部組織に炎症が生じると、激しい痛みが現れ 、夜間痛を伴うことがあります。炎症によって軟部組織に強い損傷が生じると、癒着等による肩関節の可動域制限や拘縮が生じると言われています。 これを、「五十肩(もちろん五十代以外でもなる)」や「肩関節周囲...

文献から見る下肢神経痛への傍神経刺鍼

「傍神経刺(ぼうしんけいし)」の開発者である木下晴都は、傍神経刺を「神経幹が筋肉・腱などの軟部組織によって圧迫を受けると考えられる部位の神経幹の近傍である筋肉内に刺針する方法」と定義している [1]。 傍神経刺は、昨今で言う「大腰筋刺鍼」や「梨状筋刺鍼」などに該当する。「大...

Yorumlar


Yorumlara kapatıldı.
bottom of page