top of page
  • 執筆者の写真三焦はり院

保険を希望される方にお伝えしたいこと

医療機関を受診すると、医療費は原則保険適用かと思います。その反面、鍼治療(鍼灸院・整骨院など)に関しては原則自費となり、適用要件を満たすことによって、初めて療養費としての保険適用が可能となります。


はりの保険適用要件の一つは、「医師の同意書」となっており、保険医の診察を受けた上で、「該当する適応症にて施術を受ける同意」を頂く必要があります。保険適応症は、①神経痛、②リウマチ、③頚腕症候群、④五十肩、⑤腰痛症、⑥頸椎捻挫後遺症、(+⑦慢性疼痛)となります。同意書裏面には、留意点が書いてあり、「慢性病であって保険医による適当な治療手段のないもの」と明記されています。この「~治療手段のないもの」とは、どういう意味でしょうか?


医療機関を受診した上で、保険医の判断において適当な手段がない場合に「では鍼治療でもやりましょう」という意味になります。もちろん、当該保険医が、適当な治療手段があると判断した場合には、同意書は交付されません。また、同意書の交付は、初診であっても治療の先行(一定期間の有無)が要件ではないと明記されていますが、「適当な治療手段がないこと」が前提となります。


では、頻回に鍼施術を中止(または転医)⇒鍼施術再開⇒中止(または転医)を繰り返す場合はどうでしょうか?こういった場合、保険者からは「医療機関での治療が継続されている」と見做されて「医療機関で適当な治療手段がある」と判断されることがあります。また、「頻回に中止しているような鍼治療に保険を適用するべきではない。」と判断されることもあります。上記のような場合は、返戻不支給となり、自己負担割合は10割となります。その他、患者側が自己判断で上記のような対応を行いますと、結果的に同意を拒否されることも想定されるわけです。患者個々人だけではなく、施術者単位・施術所単位で拒否の可能性もあります。


保険施術を希望される方の中には、「医師にお願いすれば同意してもらえる」であったり、「施術者が患者のために同意書発行のお願いし、同意書を発行させるべき」と考える方もいっらっしゃいます。前述のとおり、当該保険医の判断に基づいた同意となるため「100%患者側の意向で同意をもらえるわけではない」ということです。もちろん、施術者側から働きかけて同意書を発行させるものでもありません。


療養費(はりの保険)は公的に開かれた制度となっていますが、利用に際しては、ルールに則って運用すべきです。継続意思のない方は、そもそも療養費を利用すべきではないと考えます。もちろん、期待以上の治療成績となり「治癒」となる場合はこの限りではありませんが、患者側から「お試しで1~2回やってみる程度」の意思表示がある場合は、施術者側から保険利用を薦めることはありません。自己判断で中止される場合も、次回以降の保険利用をご遠慮頂く場合があります。自己判断による中止の際は、施術者発行の療養費支給申請書に「患者より中止の申し出あったため、はり施術は中止します。」等の旨を記載しています。


鍼の保険適応症である慢性疼痛は、外傷などの急性疼痛とは違い、名前の通り「長く残存・継続している痛み」です。言い換えると、自然治癒しづらいもの(不自然に長引く痛み)と言えます。個人差もありますが、一般的には、数週間~ 年余 での加療が必要なケースがほとんどです。「一般的に鍼施術は効果があるが、数回程度の加療では不十分なため、負担軽減を目的として、要件を満たす場合に限り保険適用」と考える方が至極自然です。保険適用となった場合、まずは保険同意期間(6か月、更新制)は継続加療の意思をもって通院しましょう。継続加療の意思がない場合は、そもそも同意書の発行をお願いすべきではありません。

最新記事

すべて表示

皮膚へのタッチ刺激による頻尿セルフケア

ここ数年、定期的にNHKで鍼灸に関する番組が放送されるようになり嬉しく思っています。 覚えている方もいるかもしれませんが、ソマプレーンというエラストマー樹脂製のローラーが一度NHKで紹介されました。このローラーは「過活動膀胱の方向けのセルフケア用品(頻尿ケア)」で、就寝前に会陰部をやさしく刺激して頂くことで夜間頻尿を軽減できるとされています。 ・参考:ソマプレーン 夜間頻尿をケア。排尿収縮抑制 |

局所における鍼の持続効果の話

著者は、「鍼の持続効果」に関して、度々質問を受けることがあります。実は、「鍼を刺すこと自体」には、数週間、数カ月と言った中長期的な作用はありません。「直接的な作用」は、刺鍼直後~数時間程度と考えます。「なんだ鍼はその程度しか効かないのか、、、」と感じる方もいるかもしれませんが、厳密には、この「直接的な作用」と「副次的に生じる持続効果」については分けて考えなくてはなりません。 例えば、局所麻酔剤を痛

ボツリヌス毒素・ミラーバイオフィードバック療法併用に関する研究の紹介

前回の記事(やっぱりミラーバイオフィードバック法は大事 (sanshou-hari.com))で「ミラーバイオフィードバック法は大切ですよ!」という話をしました。ミラーバイオフィードバック法は、鏡を見ながら顔を動かす方法ですが、単なる表情筋のトレーニングではなく、中枢(脳)での運動ネットワークの再構築を目標にしたリハビリです。 本稿では、関連する研究として、高橋(2014)による「ボツリヌス毒素・

Comments


Commenting has been turned off.
bottom of page