明日から12月となり、そろそろ冬の季節です。冷えや寒さにはお灸がよいと言われています。当院ではお灸は取り扱っていませんが、お灸のセルフケア指導は行っています。
お灸を施すうえで気を付けるポイントは火傷です。感覚障害の場合は熱さを感じないこともあるため禁忌となっています。また、重度の糖尿病など易感染傾向にある場合や易出血傾向の場合も同様に禁忌となっています。その他、傷口や皮膚疾患などがある場所にはお灸はすえないようにしましょう。
お灸は「悪いことをしたら熱いお灸をすえる」というイメージですが、熱さを我慢する必要はありません。せんねん灸などの台座がついている「台座灸(隔物灸)」が一般的ですが、熱は下方向に向かって進んでいくため、熱感を感じた時には熱は浸透しているはずです。がまんせずに台座ごとお灸を外して頂いて構いません。表面の皮膚がほんのりピンク色になる程度の刺激量で十分と言われています。水泡を形成したりする場合は刺激量が強すぎると考えます。水泡がやぶれると感染しやすくなるため注意が必要です。
台座灸のすえ方ですが、線香やチャッカマンなどでお灸に火をつけた後に患部に貼り付けて下さい。お灸を貼り付けた後にライターやチャッカマンで火をつけようとすると思わぬ火の勢いで火傷をする恐れがあります。もちろん、事前に水をいれたコップなどを準備し、火の処理を怠らないようにしましょう。火傷が起きた場合は十分に冷水で冷やした後に医療機関を受診して下さい。
お灸にはニオイの出ないものもあるため、好みに合わせて使い分けていくと良いでしょう。
個人的には、養生に対して足三里(あしさんり)、三陰交(さんいんこう)、太渓(たいけい)のツボがおすすめです。足三里は、胃経のツボで消化管の動きがよくなったり、食欲増進したり、疲労が取れたりと元気になる作用があります。三陰交は、腎経・脾経・肝経という三つの経絡が交わるツボです。腎は先天の精という本来もって生まれた力と関係があり、脾は後天の精という生まれたあとに備わった力と関係があります。そして、肝はいわゆる自律神経と関係があるため、三陰交は体の調子を整える作用があります。太渓は腎経の原穴のため、腎気を養い身体を強くする作用があります。
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お灸に慣れてきた後は、上記の三穴に加えて、腹部の中脘(ちゅうかん)、関元(かんげん)、気海(きかい)のツボもおすすめです。この三穴は正中線上にあり、腹部の調子を整えてくれます。中脘はへそより上、気海と関元はへそよりしたにあります。
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ツボはせんねん灸のサイトにも紹介がありますのでぜひ試してみて下さい。