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局所施術と全身調整の優劣

最近、患者さんから局所施術と全身調整はどちらのほうがよいのか?という質問を頂いたので、こちらにも書こうと思います。


東洋医学では標治法(対症療法)、本治法(根本治療)という考えがありますが、東洋医学的な見立て(証:しょう)では標治法と本治法は(証によるカテゴライズで)絶対に存在するわけですが、現代医療的な見立てではどう考えても対症療法しかないということもあります。


局所施術よりも全身調整のほうがすごいというイメージや対症療法よりも根本治療の方が優れているというイメージを持たれる方も多いですが、治療方法や施術方針というのは十把一絡げではなく、まずは患者さんを十分に理解することが重要となり、治療方法や施術方針というのは後からついてくるというのが正しい考え方だと思っています。要するにこの患者さんにはどれが一番良いのか?ということを考える必要があるわけです。


鍼灸施術における基本的な処方原則は、①局所②遠隔③随証④経験⑤循経などの要素によって構成されています。局所というのはいわゆる痛いところなどの患部、遠隔というのは循経(関係する経絡上のツボ)などを含む患部より離れたツボ、随証は名前の通り東洋医学的見立てに準じたツボの処方、経験は古来より〇〇の疾患にはこれを使いましょうというものになります。


こういった中で、どのくらい鍼をさせばよいのか?という疑問が生まれるはずです。鍼をたくさん刺すことは必ずしも悪ではありませんが、患者さんへの負担面(刺激量)から鑑みると、人によって自ずと鍼の本数が見えてくるわけです。そういったなか、先ほどの処方原則に優先順位をつけていきます。局所が良く効きそうな症例では局所の配分を多くし、全身調整が向いている症例では全身調整に重きを置きます。また、本数が増えても大丈夫そうな方には多めに鍼をしていくこともあります。時には、全身調整にみえるくらい全身の局所施術をすることもあります。


ただし、逆に本数が少なすぎる場合や深さが十分でない場合は施術効果も期待したとおりに出ない場合もあるため、注意が必要です。期待した通りの効果を出すためにも、時には鍼の刺激に慣れてもらうということも必要です。鍼は魔法ではないため、鍼で絶対に治るということはありませんが、いわゆる良くなるはずの症例を逃さないということが重要です。

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