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  • 執筆者の写真三焦はり院

慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する鍼灸治療の考え方。

昔に比べて、たばこ一箱の値段も高くなりました。現在では分煙化も進んでおり、ちまたでは電子タバコなどの代替商品も出てきています。

 

たばこは、お酒と同じように嗜好品ですが、健康被害もあります。特に、特徴的なものが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)ではないでしょう?この病症ですが、最大原因は喫煙だと言われています。喫煙が原因なものは、肺がんや口腔がんなどの悪性腫瘍だけではありません。

 

たばこは発がん性物質を含んでいることもそうですが、刺激性や血管収縮性、炎症を引き起こす原因となります。気管支に炎症が慢性的に起こると、せきや痰が出ることはもちろんですが、炎症が起こった気管支の空気の通り道は狭くなります。また、気管支の一番奥についている肺胞という部位が損傷すると、酸素の出入りがしづらくなります。こうなってくると、呼吸困難をきたしていきます。

 

呼吸には、胸郭などの動きが必要です。また、横隔膜も当然ですが、胸周りや首回り、肩の筋肉、筋が呼吸を助ける重要な役割をしています。慢性閉塞性肺疾患に罹患されると、うまく呼吸が行えないため、健康的な方よりも呼吸に携わる筋肉を総動員して呼吸を行います。そのため、常に全力で運動を行っているのと同じような状態が続くため、疲労感やカロリーの大幅な消費から食欲減退や体重の減少が起こってきます。

 

鍼灸治療では、残念ながら不可逆的に進行する慢性閉塞性肺疾患を完治することはできません。これは鍼灸治療に限らず、現代の医療状況では当然の結果と言えます。しかし、我々にとって完治の次に重要なのは、いかにして生活の質(QOL)を上げていくのかという事です。

 

鍼灸治療では、主に呼吸筋への刺鍼によって、疲労した筋肉を回復し、身体的に楽な状態にできるか。肺との関係領域である背部(首から胸の高さまで)に刺鍼することによって、過度な咳や痰を抑えられるか。足三里(胃腸を助ける・気を補充する・疲労感にもよい)や腎の母穴である太渓(吸えない=腎不納気、補腎=元気にさせる)や肺と関係するツボ(尺沢)などを用いて体質を改善できるかなどに着目して治療を進めていきます。

 

アイススケートの羽生結弦選手が首に貼っていたシール鍼(パイオネックス)なども併用することによって更なる効果が期待できます。

 

そのほかに、肺疾患の方には、寝た状態よりも座った状態での施術が良いと言われています。なぜなら横になってしまうと交感神経よりも副交感神経が優位に立ってしまい、結果として気管支などの通り道が細くなってしまう傾向にあります。そのため、夜間に喘息が悪化してしまうなどもこのためです。

 

世の中には残念ながら完治できない病がたくさんあります。投薬や呼吸器リハビリと同じように鍼灸治療が相乗効果を発揮し、患者様の健康維持に力添えできればと考えています。

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