本当に肩こり・腰痛は保険適用範囲?
肩こり・腰痛で鍼灸院や接骨院に通院している人は多いと思います。ほとんどの人が肩こり・腰痛で健康保険利用が可能という認識だと思いますが、実際は「すべてのケースで健康保険が可能ではありません。」ではどういった場合に可能で、どういった場合には不可となるのでしょうか?
接骨院と鍼灸院での業務範囲と適応症
1)接骨院
おもに急性外傷(捻挫・打撲・脱臼・骨折)が業務範囲(健康保険利用可能な適応症と同じ)となります。急性外傷は、言い換えれば「最近起きたケガ」と言う意味で、負傷原因のわからないものや古傷が~といったものは含まれません。一般的に、3ヶ月を超えないものが該当します。
適応症(急性外傷):
打撲
捻挫
骨折
脱臼
2)鍼灸院
業務範囲自体は、「鍼」または「灸」を施すことです。健康保険の適応範囲は特定6傷病に限られます。特定6傷病は主に慢性疼痛(急性も含む)です。接骨院とは違い、急性外傷かどうか?は問われないため、受傷原因が「不詳」でも問題はありません。
適応症:
リウマチ
神経痛
腰痛症
頸腕症候群
五十肩
頸椎捻挫後遺症:むちうち
柔道整復(接骨院)での肩こり・腰痛の取り扱い
肩こり・腰痛は、打撲・捻挫・脱臼・骨折の傷病名ではなく症状です。もしこの肩こり・腰痛の症状を引き起こしている原因が急性外傷(最近起きたケガ)であれば健康保険利用可能です。
例えば、転んでぶつけた(打撲)、過度に捻った(捻挫)場合などで起きたケガによる肩こり・腰痛は健康保険利用が可能です。ただし、急性外傷ですから、3カ月を超えるような場合は「慢性疾患」となるため、保険が利かなくなります。
また、受傷部位と関係のない箇所は含まれません。「足首の捻挫で姿勢が悪くなって肩こりが出た、、、」というようなケースは当然認められません。
よく勘違いされやすいですが、デスクワークやスポーツなどの疲れからくる肩こり・腰痛などの筋疲労は残念ながら「ケガ」ではないため、対象外です。いくら「何月何日に痛みが起きた!」と訴えても、接骨院では健康保険利用ができないはずです。
その他に、加齢による腰椎の変形症や既往歴がある、、、頸椎症からくる肩こりに似た痛みや痺れ(神経痛)などは急性外傷(ケガ)ではないため、肩こり・腰痛でも健康保険利用ができません。
鍼灸の肩こり・腰痛の取り扱い
鍼灸では、一般的に肩こり・腰痛は健康保険適応範囲内です。肩こりは「頸腕症候群」、腰痛は「腰痛症(腰痛症状を含むすべての疾患)」に含まれます。もちろん急性・慢性は問われません。ドクターが同意すれば健康保険利用が可能です。
さいごに
肩こりだからOK(またはダメ)、腰痛だからOK(またはダメ)とは考えずに、しっかりと適応範囲を理解した上で利用することが重要です。
まとめ:
1)接骨
急性外傷(ケガ)であればOK
急性期を超えたものは認められない
2)鍼灸
急性・慢性は問わず、特定6傷病に含まれているかどうか
最終的に医師が判断する