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末梢性顔面神経麻痺に対し継続的な鍼治療がなぜ大切か

末梢性顔面神経麻痺の鍼治療において、麻痺からの回復自体をサポートすることはもちろんですが、表情筋の拘縮等の後遺症を起こさないようにすることも治療目的の一つです。当院では、必要に応じたセルフケアの指導(後遺症予防)を行っています。ただし、すべての症例において、一回二回の施術で劇的に麻痺が改善するというわけではありません。中等症・重症例の場合は動きが出てくるまでに、数カ月掛かることがあります。


人によっては、「数週間以上も漫然と鍼治療を行っているのではないか?」と疑問に思う方もいるかもしれません。しかし、必ずしも「数回の施術で劇的に改善されなければ、鍼治療の意味がない。」というわけではありません。ENog検査(どの程度神経が活きてるかわかる検査)で予後が判定可能ですが、「数値が低いほど回復までに時間がかかり、後遺症の可能性が高くなる」と言われています。そのため、中等症以上であればすぐに治るわけではありません。どちらかと言えば、「後遺症のリスク」「回復まで一定期間かかる可能性」を念頭に置いた戦略的治療(セルフケア含め)が求められるわけです。


回復において重要なポイントは、「表情筋の動きが出てきた後」にあります。顔面神経の損傷による麻痺は理解しやすいですが、実は神経損傷だけが麻痺の原因となるわけではありません。例えば、筋肉が固くなっていれば、そもそも動きが出ません。神経が間違った方向に接続されると、関係ない筋肉が動き出します(口を動かすと目が閉じる等)。動かし方を忘れてしまえば、表情を上手く作ることが出来ません。こういった二次的な麻痺(後遺症である病的共同運動も含む)も大きな問題となってくるわけです。二次的な麻痺を生じさせない、またはなるべく軽減し、よりよい回復環境をつくることが大切になるわけです。そのため、動きがなかなか出ない場合でも、一定期間は継続加療していく必要があるわけです。


自己都合で回数を減らしたり、自然治癒に任せたりしてしまうと、思ったよりも後遺症が強く出てしまうことがあります。表情を作る行為は、生活上(食事・会話・笑顔など)で必要不可欠なため、そのまま好き勝手に動かしておくと「独特のくせ(代償的に違う筋肉を使う)」「表情の歪み(強い方に引っ張られる)」そして、「病的共同運動(目と口へいく別々の神経が繋がってしまう)」が生じる可能性も自然と高くなります。


もちろん、後遺症が出てしまった場合は、後遺症に対するケアも同時に行う必要が生じます。また、神経回復においては、発症より時間がたつと治療成績は落ちていきます。こうなってしまうと、より忍耐を強いられることになります。こういったことを念頭に置きながら治療を受けていく必要があります。


当院では、早期からの受入れ対応をしています。お悩みの方はぜひご相談ください。

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