はじめに
末梢性顔面神経麻痺には、表情筋のリハビリ(ミラーバイオフィードバック法、MBF)が後遺症予防または軽減目的・機能回復が有効と言われています。いわゆる、鏡を見ながら、口を「ウー(口を前に尖らせる)・イー(口角を横に引く)・プー(口を閉じて頬を膨らませる)」にする運動ですが、同時に「(運動時に目が閉じないように)目を開いておく」必要があります。
そのため、まずは正しい開眼方法を習得する必要があり、系統的に段階だてたリハビリが必要となるわけです。本稿では、写真を使用しながら、開眼方法のコツについて触れていきたいと思います。
正しい開眼方法
下記の1~2をゆっくり繰り返す。「①リラックスした状態からゆっくり開眼し、②開眼の状態で3秒程度静止し、ゆっくり力を抜く」感覚をつかむことが大切です。末梢性顔面神経麻痺は閉眼が制限されること(運動麻痺)が多いですが、開眼は制限されません。
1)リラックス状態
力を込めずに、リラックスした状態を保つ。額に皺がないことを確認する。

2)開眼
目の奥に力を入れるイメージで目を開く。瞼だけが開いているかを確認する。

誤った開眼方法
目を開こうとすると、代償運動として「(額を動かして)眉毛を挙げようとする」方が多い印象です。そのため、必ず鏡を用いながら「代償運動をしていないか?」の確認が必要となります。
1)目は開かず、額だけが動いている
※麻痺側の額は動かない場合があるため、健側(非麻痺側)を確認する。

2)目は開いているが、同時に額も動いている
※麻痺側の額は動かない場合があるため、健側(非麻痺側)を確認する。

さいごに
このように「目を開ける(開眼)」だけの運動ですが、やってみるとわかりますが、習得するためにはある程度の根気と時間が必要です。また、開眼が上手にできた後は、「ウー・イー・プー」をしながら開眼を保つことが要求されます。そのため、「たかが目をあけるだけ、、、」と慢心せず、毎日繰り返し練習をしていくこと(セルフケア)が大切です。
また、中高年以上では、眼瞼下垂(まぶたが垂れ下がっている状態)を併発している場合があり、強制開眼(代償運動による視野確保)によって、最初から額に皺が寄っている状態の方がいます。こういった場合は、まずは、強制開眼をしない状態を作る必要があり、注意が必要です。