世界的にも鍼灸の需要は増加傾向にあり、最近ではNHKでも特集が組まれるようになりました。当院でも今年2月より健康保険利用による鍼灸(以下、保険鍼灸)の取り扱いをはじめました。
保険鍼灸は料金体系以外にも、自費とはまったく違います。様々な制約やルールがあります。詳しい内容は日本鍼灸師会のサイトを参照下さい。本稿では、保険鍼灸の内容について述べていきます。
参考:
https://www.harikyu.or.jp/general/insurance.html
保険鍼灸は1単位の時間指定がない
鍼灸と比較されやすいリハビリは、20分1単位(最大2単位/日)と指定を受けていますが、鍼灸の場合は時間指定がなされていません。そのため、指定された報酬ベースで提供できる「時間」と「サービス」を考えざるを得ません。
この「時間設定の自由さ」がよくトラブルを生む原因となります。
保険鍼灸の限界
保険鍼灸の料金は、初検料(1610円)が掛からない場合、はり1術で1540円となっています。1540円でできるサービスを提供せざるを得ないといえます。
1540円のサービスは自費とは大きく異なります。鍼灸院毎に自費料金は違うと思いますが、一般的に3000円~10000円と言われています(NHK調べ)。当院の自費鍼灸は3000円と低価格ですが、やはり保険鍼灸で同じ内容は提供できません。
鍼灸按摩マッサージ指圧では、大体の相場は1000円~2000円/10分(自費)となっています。しかし、鍼灸に限っては、「材料費(とくに鍼代が高い)」が必要になるため、時間が短ければ短いだけ、料金は割高になります。そのほかに諸雑費も鑑みると、1540円だからと言って、15分というわけにはいきません。また、限られた時間で施術を完了しなければいけないため、自費と同じような本数も使用できず、結果としては満足度が下がる傾向にあると言えます。
こういった上記の制約が施術者の頭を悩ませています。実際に、保険鍼灸の取り扱いを止めた院も多い印象です。健康保険を用いた治療や施術は、最低限の範囲にしか認められていません。
ではどのようにすれば、上記の問題を少しでも解決できるのでしょうか?
保険と自費混合のすすめ
満足度を高く、より安価に施術を受けるには「保険と自費の混合」以外ありません。
じつは病院などの保険医療機関と違って、保険と自費の混合利用が可能です。そのため、現実的な保険鍼灸の利用方法は、一部自費負担として自費相当の施術を受けることです。そうすることによって平等性が保たれやすく、施術の満足度も高くなる傾向にあります。また以下のようなトラブルを避けることができます。
よくあるトラブル:
1)自費で施術を受けていると、保険鍼灸の安さが気になる
例:サービス内容の違いがわからないため、損をしているような気分になる
2)保険で施術を受けていると、自費のフルサービスが気になる
例:保険利用によるフルサービス(自費)のお願いをしたくなる
当院で混合鍼灸を受ける場合:
料金:保険(1540円~1570円)+自費(3000円からの差分)=3000円(混合)
それでも保険にこだわる場合
上記のメリットとデメリットを受け入れた上で、健康保険を利用しましょう。