鍼に関した研究で、一番関連のあるキーワードは「疼痛」です。これは、鍼灸治療が疼痛緩和に対して効果を発揮する傾向があることを示しています。
1970年代にニクソン訪中後、鍼灸治療が世界的に注目され始めました。それは中国が公開した「鍼麻酔」という鍼灸手法が非常に革新的だったからです。
針麻酔とは,四肢末端のツボを刺激し,脳内からモルヒネ様物質を大量に分泌する方法です。これによって,全身性の鎮痛効果が数日間現れます。また,意識が鮮明で,受け答えが可能など利点がありますが,牽引されている感覚などは残るため,感覚の完全な消失はありません。他に,分泌量を適宜コントロールすることは難しいため,人によっては効果がない場合もあります。途中で効果が消失する場合もあるため,針麻酔のみでのオペなどはなくなりました。
針麻酔も一般的な鍼治療と同じで投薬と併用できます(出血傾向、易感染傾向以外)。その他に、鍼麻酔では,通電(1Hz)をしますので,ペースメーカー使用者には用いません。ツボは足三里-三陰交と手三里-合谷を使います。
現在この鍼麻酔はどのような場合に使用するのでしょうか?現代医療では,さまざまな薬を用いて除痛をしていきます。最初はノンステロイド,次にステロイド...最終的には医用モルヒネなど,痛みのステージに合わせた薬を用います。薬によっては便秘などの副作用が現れてきます。そうなってくると,必然的に量を極力減らしたい!副作用を減らしたい!ということになっていきます。こういった時に,鍼麻酔を併用し,除痛効果を高めていきます。また,便秘に対しても通常の刺鍼をし,通便を促します。
鍼灸治療は,代替医療の一部となっています。現代医療と併用することによって医療サービスの向上が期待されています。代替医療も含め、個々にあった医療サービスを選び、健康を促進することが最善ではないでしょうか?