症状から見る医療機関受診の重要性

お尻から足にかけて痺れが出ると「これは坐骨神経痛だ!」と考えたり、立ち上がった時にフラフラすると「これは眩暈かもしれない!」と考えるかもしれません。たしかに、神経痛と眩暈に間違いはないかもしれませんが、これらの症状だけでは本当の病気が何かはわかりません。


例えば、顔の筋肉に力が入らずに垂れ下がってしまう「顔面神経麻痺」では、障害部位を大まかに分けると中枢性(中枢神経)と末梢性(末梢神経)の2タイプに分けることが出来ます。中枢性とは脳や脊髄までを指し、脳や脊髄から末端に出ていく神経の枝を末梢神経と呼びます。中枢性では脳卒中(脳梗塞や脳出血など)や脳腫瘍が原因となり、末梢性ではベル麻痺やラムゼイハント症候群のようにウィルス感染などが原因となります。


末梢性よりも中枢性の方が重篤であることは感覚的にわかると思いますが、実際の見た目は中枢性の方がより軽く、末梢性の方がより重く見えます。そのため、症状だけで判断をしてはいけないことがわかります。なぜ中枢性の方が軽く見えるかというと、額は両側性で支配されているため片側の脳卒中では麻痺が生じないからです。


額だけを残して片側が麻痺を起こしている場合は中枢性を疑います。それ以外にろれつが回らない、言葉が出てこない、話が理解できない、突然の嘔吐、手足に力が入らないなどの神経症状がある場合も中枢性の可能性が高いと言えます。そのほかに、両側性に顔面神経麻痺が生じる場合はギラン・バレー症候群のように全身性の疾患の可能性もあり、注意が必要となります。


たしかに顔面神経麻痺ではすぐに医療機関受診をされる方が多いと思いますが、見過ごしていた症状が思わぬ病気から起こっていたということもあります。単なる慢性腰痛だと思っていたらガンの骨転移だった、、、ということもあるかもしれません。


こういった理由から、医療機関受診が優先されるべきであることがわかります。下手に整骨院や鍼灸院などの施術所でまずは診てもらおうというのは賢明ではありません。また、施術所では診断行為が行えないため、高度な検査設備はありません。中にはエコーを用いて診断行為を行っている施術所もあるようですが、診断行為は医師だけに認められている医療行為のため違法となります。施術所においては安全確認や施術補助のためだけにエコー使用が認められています。また、エコー検査だけですべての医療情報を取得することは困難です。


正しい使用例:

エコーガイド下で安全を確認しながら(はり師が)鍼施術を行う。


間違った使用例:

医師以外がエコー検査の結果から診断をし、病名を告げたり説明を行う。


まずは医療機関を受診し状態を把握してから、必要に応じて整骨院や鍼灸院などの施術所を利用することが大切です。以下の保険適応症であれば施術所においても健康保険利用が出来ますが、保険利用は限定的であることに気を付けましょう。


保険適応症:


1)柔道整復(ほねつぎ、接骨、整骨)

  • 適応症:急性外傷

  1. 打撲

  2. 捻挫

  3. 脱臼

  4. 骨折


2)鍼灸

  • 適応症:慢性疼痛

  1. 神経痛

  2. 五十肩

  3. 腰痛症

  4. リウマチ

  5. 頚腕症候群

  6. 頸椎捻挫後遺症


3)あんま指圧マッサージ

  • 適応症:関節拘縮、筋麻痺

  1. 関節拘縮

  2. 筋麻痺

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