痛いところは全部ツボ?阿是穴って何?
阿是穴とは?
鍼灸は、ツボ(経穴)と経絡を鍼で刺激することによって「何らかの生体反応」を引き起こすことを目的としています。奇穴(経絡上にはないもの)と言われるツボは年々増えたりしますが、一般的には正経十二経(五臓六腑の名前がついた経絡)と任脈(前正中線)、督脈(後正中線)を合わせた十四経上にある361穴が一般的なツボにあたります。
そのほかに阿是穴(あぜいけつ, a shi xue)というツボがあります。これは定まった場所ではなく、経絡外にある圧痛点やコリなど反応のある場所を指します。「以痛為輸(痛みを以って輸と為す)」から来ている概念です。簡単に言えば、痛いところは全部この阿是穴ですよ!ということです。
鍼灸師は脈をみたり、舌を診たりしながらツボを決めたり、五臓六腑の症状からツボを決めているだけではありません。とくに学生の時は「なにかとツボツボツボ、、、」「五臓六腑を調整して、、、」と考えてしまうことがありますが、症状によっては阿是穴を刺激するだけで著効する場合が多々あります。
トリガーポイントとドライニードリング
アメリカでは理学療法士に対し鍼灸鍼を使った手技(ドライニードリング, dry needling)が許可されました。東洋医学的な弁証論治(治療原則)に基づかない解剖生理学に基づいた方法とされています。もちろん一般的な経穴や経絡は用いません。筋肉の痛いところ(トリガーポイント=阿是穴)に鍼を刺すだけです。
じゃあアメリカの鍼灸(acupuncture)はこれとは違うの?ということになりますが、アメリカでは東洋医学的な弁証論治に基づいた方法が「鍼灸(acupuncture)」と定義されています。日本ではこの「acupuncture」も「dry needling 」どちらも同じ鍼灸師の取り扱いになるため、国によって大分定義が違うなぁ、、、という印象です。
ドライニードリングの紹介
Dry Needling by a Physical Therapist
Is Dry Needling for Me?
さいごに
ただ痛いところに刺しているようにみえる「阿是穴への刺鍼」や「トリガーポイントへのドライニードリング」も立派な鍼灸技術の一つです。症状によってはこれだけで著効する場合があります。とくに筋肉由来の痛みに対して有効です。一概に舌や脈をみて治療方針を決めなければ効かないというわけではありません。この阿是穴もちゃんと東洋医学的に定義されているツボだと言えます。