筋・筋膜の問題から生じる肩関節の可動域制限
関節自体が固まってしまうことによる可動域制限、いわゆる拘縮という問題があります。五十肩は肩関節に拘縮をきたすことで有名ですが、それに似た症状を呈した筋・筋膜症候群と疑われる症例を目にすることが度々あります。
拘縮の改善は一般的に時間がかかるか、時間がかかっても難治性の場合が多い印象です。とくに高齢者の場合は後遺症として症状が残存する傾向にあります。逆に、単なる筋・筋膜の問題であれば、施術中にトリガーポイントの反応(局所単収縮反応、LTR、筋肉がビクッとなる反応)があり、施術直後から可動域改善や痛みの軽減が認められます。
拘縮と筋・筋膜症候群は同じ可動域制限を呈していても、メカニズムが違います。拘縮は、関節周りのコラーゲンが軟部組織に絡みつくことによって「質的に変化して動かせない状態」です。筋・筋膜症候群は、筋硬結(いわゆる「コリ」)による痛みによって「痛くて動かせない状態」です。そのため、後者の場合、コリ自体が解除されれば可動域や痛みの程度は改善するわけです。
筋・筋膜症候群ならそんなに大変じゃないのか、、、と思う方もいるかもしれませんが、問題は、長引くと関節拘縮を引き起こし、結果として五十肩になってしまうことがあります。そのため、痛みがある場合は、出来るだけ早期からケアを始める方がよいと言われています。
一般的に、筋・筋膜症候群はトリガーポイント注射や鍼療法がよいと言われています。温熱療法や電気療法であまり効果がない場合は、試してみてはいかがでしょうか?
そのほか、腱板断裂などでも腕が挙がらなくなります。ご自身で腕を挙げることができないが、他の人に挙げてもらえばスンナリ腕が挙がるような場合、腱板断裂の可能性があるため注意が必要です。