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脳卒中の片麻痺に対する刺鍼方法と効果の紹介。Maeda Astuki先生の動画より。

「醒脳開竅法(せいのうかいきょうほう, xing nao kai qiao fa)」という脳卒中に対する有名な鍼処方があります。以前私が留学していた天津中医薬大学第一付属病院の石学勉教授(professor shi xue min)が開発した方法です。1970年代より臨床応用されています。


当院のホームページにもツボの紹介や研究報告などを載せています。YOUTUBEという動画サイトに最適な動画がありましたので、本稿で紹介いたします。ぜひご覧ください。


1)Xing Nao Kai Qiao Therapy - Affected hand

(醒脳開竅法 - 患手)

解説:手指の痙性麻痺によって、強く指を握りこんだ状態が起こります。鍼を刺すことによって握りこまれた指が脱力し、開いていきます。


2)Xing Nao Kai Qiao Therapy- Lower Extremity

(醒脳開竅法 - 下肢)

解説:下肢の麻痺によって運動制限が起こります。膝裏に鍼を刺して刺激をすると、下肢の跳動がおき、調節作用によって麻痺による運動制限が軽減します。


3)Xing Nao Kai Qiao Therapy- Upper Extremity

(醒脳開竅法 - 上肢)

解説:上肢の麻痺によって、運動制限が起こります。脇に鍼を刺して刺激をすると、上肢の跳動が起き、調節作用によって麻痺による運動制限が軽減します。


雑感:

実際の醒脳開竅法は、上記動画の3穴(副穴)を含む6穴で構成されています。そのほかに、構音障害や嚥下障害などの諸症状に対する加減配穴(対症穴)などが体系だてられており、再現性の高い鍼処方となっています。


醒脳開竅法を行う上で、日本式の管鍼ではなく、中国式の片手刺鍼法(片手で直接鍼を刺す方法)の習得が必須です。また、決まった部位へ適切な刺激を行う為には相応の高い熟練度を要します。そのため、一部の鍼灸師のみが行える手技といえます。


臨床面では、鍼による麻痺の症状軽減はもちろんのこと、リハビリ(運動療法)と併療することによって相乗効果が期待できます。


一般的に、脳卒中発症後180日を越えると後遺症期となり、それ以前に比べて身体機能の回復速度は緩やかとなります。しかし、後遺症期になっても改善の見込める場合や、痛みや違和感など症状の改善が必要な場合もあり、継続的なリハビリや鍼などによる症状のコントロール(ケア)が重要です。※発症後180日を越えると保険適応外となる


当院でも同様の方法を提供しています。興味のある方はぜひご相談下さい。

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