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脳卒中の自費リハビリになぜ鍼とリハビリが併用とされているか

昨今、脳卒中(脳梗塞、脳出血)に対する自費リハビリ施設が増えてきています。


医療保険を用いた医療リハビリは最長180日とされており、原則として介護保険利用への移行となりますが、年齢(40歳未満)や状況によってはこういった公的支援が受けられない場合もあります。また、介護保険利用では制限もあるため、通所では集団リハビリ、在宅では限られた範囲でのリハビリとなります。どちらかと言えば、社会的なリハビリ(≠医療リハビリ)、機能回復というよりも機能維持といった印象です。こういった中、集中的な個別リハビリを望む方、機能回復を目指す方にとっては自費リハビリも選択肢の一つとなるわけです。


脳卒中に対する自費リハビリの特徴としては、運動機能訓練に鍼治療が併用されていることが一般的です。鍼治療の特性としては、①脳(中枢)の機能改善、②心臓への強心作用、③虚血再灌流時の脳保護作用、④神経や筋肉への促通作用などが認められています。また、弛緩している場合は筋力の発現を促し、痙性がある場合は緩和を促す効果があります。ただし、鍼治療は運動を行うわけではないため、筋肉を太くしたり、実際の運動を学習したりするためには運動機能訓練(リハビリ)が必要とされています。


こういった話をすると、しばしば「いくら鍼もやったほうが良いとはいうけど、運動機能訓練(リハビリ)単体だけでよいのではないか?」といった声が聞こえてくることがあります。たしかに、現代医療では運動機能訓練(リハビリ)が主体とされていますが、例えば以下のような場合はどうでしょうか?


ケース)痙性麻痺によって手指を握りこんでしまっている。

鍼では合谷というツボを刺激をすれば手が自然に伸びていきます。時間にしては1分もかからないはずです。痙性が緩むと動かしやすくなるはずです。動かしやすい状態でリハビリを行う方がよいはずです。


  • 参考動画:

Xing Nao Kai Qiao Therapy - Affected hand

このような手指の握りこみ以外にも、鍼による刺激は脳機能や四肢運動機能への良い影響があります。脳卒中による問題は、片麻痺(片側の運動麻痺)であっても手や足(局所)で起きているわけではありません。根本となる原因は脳(中枢)がダメージを受けたことによるものです。鍼治療による脳(中枢)への効果も無視できないわけです。


機能回復の面では、発症初期から鍼治療を併用する方が効果が高いと言われています。発症からの経過時間と機能回復の程度は反比例することがわかっているため、出来る限り早期からの高頻度での鍼治療がおすすめです。後になってから「やっぱり鍼でもやってみるか」となるよりも「まずは鍼治療も取り入れてみよう」と言った戦略が大切というわけです。決して鍼は最後の砦ではないですし、最後の砦にすることは得策ではありません。


リハビリに加えて鍼治療を受けることはメリットがたくさんあるわけです。もちろん、脳卒中に対する鍼治療には専門性の高さが必要不可欠です。当院では、天津中医薬大学第一附属病院の石学敏教授の開発した醒脳開竅法(せいのうかいきょうほう)という特殊鍼法を提供しています。担当鍼灸師(医学修士)は、同大学大学院に留学し、第一附属病院での研修も行いました。また、鍼灸師・学生向けの講演も行っています。なお料金は、一般施術に準じて特別な費用は掛かりません。興味のある方はぜひお問い合わせください。

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