脳卒中後遺症に対する自費リハビリに関する記事を目にしました。今回は雑感を書いていきたいと思います。
記事:
「自費リハビリ」という選択肢 脳梗塞からの復帰目指し 2ヵ月間27万5000円の費用は全額自己負担〈仙台〉
脳卒中後遺症に対する保険によるリハビリは、180日(6カ月)までと制限があります。理由として発症から6カ月を経過すると、機能回復はプラトー(平坦)となり、発症すぐ(急性期)や半年以内(回復期)のような飛躍的な回復は望めないという根拠に基づきます。発症後半年を過ぎても回復するかもしれない患者さんの個別事情は考慮していません。政府としては、医療費を無限に使用することはできないのです。周知されていませんが、保険医療とは必要最低限の医療サービスという位置付けなのです。
もし脳卒中(脳梗塞など)を発症してしまった場合、まず第一に重要なことは、急性期から回復期にかけて、やれることは全てやるということです。180日までに利用可能な保険によるリハビリにも細かい制限があり、早期からの鍼灸治療など自費治療の併用が望ましいと言えます。
次に、180日以上経過し、保険によるリハビリが困難な場合は、自費によるリハビリなどが必要となります。記事には2カ月間30万円弱となっていますが、実際の治療介入期間が2カ月で終わることはまずありえません。2カ月試せば最大限の治療効果が出るという意味ではありません。とくに、保険利用できなくなった半年から発症一年までは、治療成績の程度にかかわらず、諦めずに治療継続されることが望ましいと言えます。後遺症などは、1日や一週間、一カ月で劇的に改善されるということはまれです。
私の留学していた天津中医薬大学(中国)は、脳卒中後遺症に対する鍼灸治療「醒脳開竅法(せいのうかいきょうほう, xing nao kai qiao method)」が世界的に有名です。私も大学院課程に在籍していた4年間、病棟や外来で助手をしていました。海外からも多くの患者さんが来訪し、日々治療に励んでいます。「9000 needles(9000本の鍼)」と言うアメリカ制作のドキュメンタリー映画(2009)が有名です。Youtubeで視聴できるので、下記にURLを載せておきます。
1)映画予告編
9000 Needles Official Trailer
9000 Needles Documentary - Devin Dearth
2)映画本編
Medicina Tradicional China - Pelicula "9000 Needles"
以前記事にしましたが、附属病院の鍼灸病棟では急性期から鍼灸治療を行います。回復期や後遺症期に移行した後も鍼灸外来を定期的に受診し、年単位で通院しているケースが多く見受けられました。病棟では毎日2回、外来ではほぼ毎日といった通院状況です。一般的に日本人の感覚としては多過ぎるのではないか?と感じる方もいるかもしれませんが、専門家の意見としては、低頻度通院でほとんど効果が望めないと言えます。一般人による主観的な感覚で通院頻度を決定するべきではありません。
1)付属病院紹介(当院院長は6:39~の韓景献教授に師事していました)
The First Teaching Hospital of Tianjin University of Traditional Chinese Medicine
2)外国人の臨床研修風景
Foreign Students Learning Traditional Chinese Medicine
3)付属病院鍼灸病棟での治療(旧病院)
1st stroke pacient at Tianjin Hospital - Acupunture
救命医療技術の向上によって、生存率は高くなり、寿命も延びましたが、逆に言うと、後遺症を抱えた患者さんが増加傾向にあると言えます。そういった背景を鑑みると、保険医療受診の制限は一層厳しくなっていくことが想像できます。
当院では、脳卒中後遺症に対する特殊鍼法「醒脳開竅法(せいのうかいきょうほう)」を提供しています。複雑な理論体系の熟知と、特殊な手技手法が必要(要訓練)で、治療院によっては、価格を高めに設定している場合がありますが、当院では一般鍼施術と同じ3000円(初診は5000円)となっています。
当院は横浜市磯子区、京急線屏風浦駅すぐにあります(駐車場有)。横浜市内または磯子区周辺で興味のある方はぜひご相談ください。