腰の問題が下肢に痛みを起こす理由:坐骨神経痛と大腿神経痛
年を重ねるにつれて、腰椎など骨の変形が起こる場合があります。骨や神経の変性は、加齢による退行変化が主な原因となります。そして、ホルモンの変化による骨粗しょう症なども原因の一つとなります。
なかでも、腰の問題は、太ももの痛みや、足の痛みを伴う場合があります。人によっては、「ふとももの前が痛いのだけれど、なんでだろう?」といったような疑問をもって来院される方もいらっしゃいます。一般的に、おしりの後ろ~ふとももの後ろ~ふくらはぎ~まで痛む「坐骨神経痛」は有名だと思いますが、股関節や太ももの前側が痛む「大腿神経痛」はあまり知られていない印象です。
腰の問題(大体は下肢の痛みや違和感を伴う)で、整形外科を受診すると、「腰の骨どうしの間隔が狭い」、「腰の骨に小さな棘が増えている」、「神経の通り道が狭くなっている」などと説明を受ける場合があります。
ではなぜ腰の問題で下肢が痛むのでしょうか?また、ある人は坐骨神経痛を伴って、ある人は大腿神経痛を伴うのでしょうか?
腰の問題で一番多いのは、下部腰椎(L4-S3)の問題です。下部腰椎から下肢に向かう神経は「坐骨神経」です。そのため、下部腰椎の問題があると、「坐骨神経痛」が出やすくなります。
大腿神経は、上部腰椎(L2-L4)から太もも前面に向かう神経となります。そのため上部腰椎に問題があると、「大腿神経痛」が出やすくなります。
また、「腰部脊柱管狭窄症」では脊柱の中にある、脊髄が圧迫されていることが多いです。すると圧迫されているところから下全てに問題が出てきます。上部腰椎で圧迫があると、「下肢全体の痛み+泌尿器系症状」、下部腰椎で圧迫があると、「下肢後面の痛み+泌尿器系症状」となります。
考え方としては、山から下流に水が流れていくのと同じです。上の方で本流がせき止められれば下流すべてに水が流れていきません。本流ではなく、支流がせき止められれば、支流と関係している場所に水は流れていきません。「水不足=痛み」と考えれば納得いくのではないでしょうか?