足三里のツボをご存知でしょうか?松尾芭蕉が奥の細道を旅している間、足の三里にお灸をすえたという話もあります。足三里というツボは、胃腸に作用するツボです。また、補う作用が強く、身体的に疲れている場合にはとりあえず足三里というくらい重宝します。
古典では「肚腹三里留/吐腹(とふく)は三里に留む」といい、お腹の問題は、足三里を使います。足三里に鍼をして、補法(補う方法)を施すと、お腹からキュルキュルと音がする場合があります。これは、足三里を刺激すると、腸の蠕動運動が促進されるからです。足三里は胃経に属していますから、胃と関連していると言えます。
では、なぜ足三里は疲れを取り去って、健康増進に働くのでしょうか?東洋医学では「脾胃(現代解剖生理の脾臓ではない)」の調子が健康のバロメーターになっています。「脾胃」は「消化器官」と同じ意味で、現代医学でも「食べられない」ことは、健康を害する大きな原因の一つと考えられています。栄養が足りなければ、人間の体は正常な身体活動を保つことができません。
足三里は前述したように、胃と関係があるため、刺激することによって、胃腸の調子を強め、消化吸収をよくし、結果として身体の健康を増進・維持します。疲れた時、足三里にお灸をしてみましょう。刺激量はじんわり温まるまでで十分です。