車椅子を使うと歩けなくなる、、、わけではない。シーンに合わせた使い分けでより豊かな生活を。
「車椅子を使うと歩けなくなる」は間違い
よく車椅子を使うと足が悪くなる?と思われる方が多数だとおもいます。こういった考えから「車椅子はなんとしても使いたくない!」と言った声を耳にすることも多々あります。しかし、実は「車椅子を使うと歩けなくなる」という考えは間違いです。
実際に「車椅子を使ってみてはいかがでしょうか?」と言われる方は、自立した歩行に何らかの不安がある場合がほとんどです。「すでに杖を使用していたが、転倒が増えている、、、」または「少しの距離でも支えがないと歩けない、、、」といった不安はありませんか?
こういった状態で無理をして歩いても、転倒のリスクが上がるばかりか、たいした運動量にはならず、力強い足腰になるとは考えにくいというのが現実です(後述)。「車椅子使用が歩けなくなる原因になった」というよりも、「何かしらの原因で(歩行が困難になったために)車椅子が必要になった」という方が矛盾の無い考え方です。
自宅では歩けるから、、、という過信は禁物
自宅では「杖だけで歩行出来る!(または自立して歩ける)」と自信があったとしても、自宅と外では条件が違うため、同じように歩行が出来るとは限りません。
外は常時バリアフリーに設計されているわけではなく、公道は手すりが常設されているわけではありません。また、路面も場所によっては滑り易かったり、舗装が行き届かずデコボコしているかもしれません。雨が降っていたり、風が強かったり天候に左右されることもあるはずです。
外を歩くだけが筋力強化ではない
ボディビルという競技をご存知ですか?ボディビルダーはエアコンで管理された屋内でマシーンやウェイト(おもり)を使用したトレーニングを主に行います。こういった環境は、「外を歩く」という条件とは全く違いますが、ボディビルダーは、高重量のウェイトを持ち上げ、筋肉はたくましく成長しています。歩くことが必ずしも筋力強化につながるわけではないのです。
普段の散歩はどの程度の筋力を使用していますか?不安定な歩行で本当に筋力が増大しているでしょうか?実は、筋力増大には一定の法則があるのです。条件は「歩くこと」ではありません。
筋力維持・増大の条件:
一日に20~30%の筋収縮を数回行うと筋力を維持できる
30%を超える筋収縮では筋力増大が期待できる
20%を下回る筋収縮では筋委縮がおこる
最大筋力の2/3の力で一日一回6秒間のアイソメトリック運動(等尺性運動)で十分
しっかり栄養を取る
アイソメトリック運動:
ストレッチのように曲げたり伸ばしたりをせず、その場で力をこめるだけの簡単な運動を指します。
おすすめのトレーニング
大腿四頭筋筋力訓練(パテラセッティング、クアドセッティング)
大腿四頭筋(ももの筋肉)は、重力に負けないように足を踏ん張ったり、歩いたりするときに使う重要な筋肉です。このトレーニングを日々行うことによって、強い足腰を維持することができます。膝が悪かったり、なかなか外に出れない場合でも、ベッドの上で筋力強化を行うことが出来るため、安定した姿勢で効率よくトレーニングを行うことが出来ます。
中には、なかなか忘れてしまって継続できないという場合もあるかもしれません。そういった場合は、朝起きた時、夜寝る前にトレーニングを習慣づけることが重要です。
「車椅子」は「筋力低下」の絶対条件ではない
筋力が低下することと、車椅子は関係がないことがわかったはずです。強度が足りなければ、いくら歩いても歩いても、筋力が低下してしまうということは起こりえます。
日々の適切なトレーニングを欠かさなければ、車椅子をシーンに合わせて使用することは問題はありません。「車椅子」と「筋力低下」の二つは切り離して考えなければなりません。
自分のために、あえて車椅子を使うということ
歩行に不安が無い方でもシーンに合わせて車を運転したり、バスや電車などの公共交通機関を使用します。こういった便利な手段の中に、車椅子が含まれていると考えて差し支えないはずです。
車椅子を利用して行動範囲が広がったり、時間を有効利用したり、疲れずに移動出来たりすれば、おのずと生活自立度が上がっていきます。見たい風景や会いたい人に会いに行くための手段にもなるはずです。「無理して歩かずに早くから使っておけば良かった!」という声を聴くこともあります。
目的意識がなく漫然と使ってしまうと、出来ることをやらなくなります。これが意欲の低下につながり、筋力低下を起こしてしまう一因になります。目的意識をはっきりすることによって、依存してしまうことを予防することが重要です。
さいごに
自分に合わせたライフスタイルを保つために、車椅子が存在しています。適切に使用すれば生活を豊かにするはずです。いまいちど本来の使用目的とメリットに目を向けて検討してみてはいかがでしょうか?