鍼が効いたか効いていないかを主観評価だけで考えるべきではない。短絡的な判断で止めるようであれば、最初から治療などしないほうがよい。

鍼の効果ってなんだろう?

症状や体質によって頂ける返事は様々ですが、鍼施術直後に「鍼をした後どうですか?」ということを一度尋ねることにしています。


例えば、、、

・あんなに痛かったのに、今はほとんど気にならなくなった

・鍼をした場所が重だるいような感じがある

・あんまり変わらない

etc...


鍼灸師と患者さん双方にとっては、直後効果が大きく出た方がよいに越したことはありませんが、すべての人に直後効果が出るものではありません。そのため、「また次回まで様子を見るように、、、」と一言添えて、次回の予約などのお話をします。


人によっては、直後効果を実感しないとなかなか鍼を信じれないまたは、がっかりしてしまうという方もいらっしゃいます。中には、1度きりでご縁がなくなってしまう場合もあります。鍼施術前の同意書取得の際に、鍼の効果に関することは個人差も含めて説明をしているわけですが、先入観などで「鍼は1回で効くものだ!」、、、または、「直後効果がなければ腕が悪い!」と思われる方もいるようです。


実は鍼灸に限らず、以下の点を総合的にみていくことが非常に重要です。


ポイント:

・直後効果:直後に発言する効果

・経時的変化/持続効果:継続していくことによって起こる効果

・主観評価:患者さんが感じていること

・客観評価:データなどで算出されたもの


直後効果と経時的変化

直後効果のみに着目しがちですが、経時的変化を観察することも重要です。臨床研究などでもそうですが、基本的に1回の鍼施術だけで効果を判定するということはしません。


理由としては、臨床上では中長期的な治療介入が行われる場合が多く、1回で適応不適応(効果があるかないか)と判定することは非現実的です。継続した治療介入による効果を無視した短絡的な判断はさけるためにも、比較的長い目でみることが重要です。そのため、少なくとも3ヶ月以上の経過をみてみましょう。


また、変化に関してですが、不変または悪化の傾向が長中期的にみられる場合を除いて、少しでも変化があるようであれば、まずは継続していくことをおすすめします。また、難病や進行性の疾患ではなかなか大きな改善がみられないこともあります(進行性では徐々に悪化していく)が、少しでも症状が安定した、または進行の程度が治まったといった場合は継続したほうがよいといえます。


中には、「痛みが0にならなければ効果がない!」であったり、「たくさんある症状が全部抑えられないから効果がない!」など極端な考えを持たれる方もいるようですが、一般的には、「寝られない痛みが治まり、睡眠をとれるようになった」であったり、「痛みが気になってしょうがなかったが、日常生活を送る上では気にならない程度までになった」といったレベルまで症状が治まったのであれば、よく効いているといった印象です。


主観評価と客観評価

主観評価はバイアス(偏り)が起きやすく、見方や見え方によって感じ方が変わってしまいます。そのため、個々の効果判定には主観評価と客観評価を総合的にみて判定する必要があります。


例えば、、、

・主観:血圧は高くないと思っていた

→客観:血圧計で測定したら血圧が高いと判定された

※血圧がどの程度かなどは、なかなかご自身ではわからない


・主観:肩が上がるようになったと思っていた

→客観:実は体全体が横に傾いたまま腕を上げていただけだった

※実際は肩は挙がらないが、代償運動で上がっているようにみえた


・主観:痛みの程度に変化がないと思っていた

→客観:VASスケール(痛みの評価方法)は症状軽減を示していた。

※痛みの評価を行うと、以前よりも症状が緩和されていたということもある


・主観:症状が完治しないから治療介入をやめた

→客観:慢性的または進行性の疾患であったが、実際は症状抑制されていた

※治療介入中止後に症状が著しく悪化することがある


上記の例のように、バイアスによる間違った判定を行うことは好ましくありません。


最後に

人によっては、自己判断(素人判断)で通院回数などを決めがちですが、それでは、よい結果があるとは思えません。また、症状が一時的に治まったからといって、突然自己判断で中止される方がいますが、結果的に症状悪化することが多々あります。とくに加齢に伴う骨の変形(ときに神経症状を伴う)や神経変性症などの場合、もとどおりに完治することはまれです。


脳卒中後遺症などで発症から一定の時間が経っていて、「患側の麻痺(片麻痺など)」を著しく改善できない場合でも、機能維持や痛みなどの症状を抑えることを目的に治療介入することがあります。そういった場合は、一定の理解と辛抱が必要となります。


鍼施術を希望する場合、ほとんどの方は「医療先行(病院などでの治療)」を経て、最後に鍼灸院の門を叩きます。鍼を受けるにあたって、(迷いや安易な気持ちから)継続して受ける意思がない場合は、鍼による治療介入自体を行わない方がよいと考えています。通院するために時間などの負担もあります。でも一度、保険の枠内だけでは限界かどうかを考えてみて下さい。おそらく保険診療では満足できずに来院されたはずです。一緒に頑張ってみませんか?


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