鍼が向いている人向いていない人
時々ですが、鍼が向いている人、向いていない人について質問を受けます。向いている、向いていないというのは色んな見方や考え方があるためハッキリ答えにくいものですが、私が思う鍼が向いていない人を3つ挙げたいと思います。
私が思う鍼の向いていない人:
極端に痛がり・怖がり
極端に期待値が高い
極端に費用対効果に敏感
極端に痛がり・怖がり
時々ですが、「鍼は気持ちいいもの」であったり、「痛いのは腕が悪いせいだ」と考える方がいます。鍼を皮下に刺入するわけですから「チクッ(刺入痛)」や「ズーン(鍼感、ひびき、得気)」は避けては通れません。また「痛い」という感覚の受容(受け止め方)は人によって様々で、「鍼のひびきが効く~」と喜ばれる方もいますし、逆に、少しでも鍼が触れている感覚があると「やめて~」と痛がったり怖がったりする方もいるわけです。極端に痛がったり怖がったりする方に対して「刺さない鍼」や「極端に細い鍼」をするほうがよいのではないか?という意見もありますが、刺激量の面で考えると「効果に疑問がつく可能性も高い」ため、こういった方には鍼は向いていないと考えます。
極端に期待値が高い
時々ですが、「鍼なら一回で治るだろう」であったり、「鍼は東洋医学だからよく効くはずだ」と考える方がいます。たしかに鍼のイメージは魔法のように感じるかもしれませんし、東洋医学と言えば人によってはものすごい神秘的なパワーを感じるかもしれませんが、実際は「医学体系の一つ」に過ぎません。東洋医学や西洋医学、現代医療や代替医療(現代医療を補ったり代わりになるもの)は、私たちの都合によってカテゴライズしたものに過ぎないわけです。(巷では何でも治るというような如何わしい宣伝もあるようですが、、、)鍼施術にも向き不向きがあり万能ではありません。もちろん、医療機関での治療を受けた後になかなかよくならない、、、鍼を検討しようと言うのは間違いではありません(このケースが多い)。ただし、医療機関での治療と同じように、一つの治療方法として一定の効果を挙げるためには一定期間継続することを求められます。極端に期待が高い場合はドロップアウト(中途中断)も多く、本来挙げられる効果を得られない可能性が高いため、鍼は向いていないと考えます。
極端に費用対効果に敏感
時々ですが、「鍼は極端に高額だ」であったり、「鍼は保険が効かない」と考える方がいます。鍼灸院は施術所の区分のため、保険指定の医療機関(病院・クリニック)と同じとはなりません。健康保険利用の可否に関して言えば、特定の傷病に対して条件を満たした場合に限り保険適応が可能ですが、原則は「自費での取扱い」となります。また、施術所によっては施術報酬の兼ね合いから保険利用自体を行っていない場合もあります。医療機関と比べて費用が高いか?安いか?という面で言えば、健康保険利用に条件や制限があるため、自費となると割高になることは否めません。そのため、(鍼が効くか効かないという面よりも)鍼施術を受ける上でどうしても健康保険利用のみでないと気が済まない方や自費施術に抵抗がある方は鍼が向いていないと考えます。
さいごに
本稿では、「そもそも鍼自体の効果があまり見込めない」であったり、「そもそも不適応」というものは除きました。触れた内容は、どちらかと言えばミスマッチと考えています。鍼に関して「痛いか痛くないか?」と質問を受けた場合は、しっかり「無痛ではない」ことをお伝えしています。鍼に関する説明をした上で(または実際に受けた後)、患者さんご自身が他の治療方法を探したい場合や試したい場合は、無理に鍼をすすめることはありません。「鍼は選択肢の一つであって、患者さんご自身が説明を受けた上で選ぶもの」ということをお伝えしています。また併せて、一旦鍼を受けることを決めたのであれば、効果の面を考えて一定期間継続をした方がよいともお伝えしています。