鍼が痛いか痛くないかより重要なこと

よく聞かれる質問の一つに、「鍼は痛いですか?痛くないですか?」といった質問です。答えは、「人による」としかいえません。


鍼療法をご存じない方、または未経験の方は、「鍼=痛い」というマイナスイメージを持つことが多いと思います。実際、鍼は場所や体質、症状によって「痛い場合」と「痛くない場合」があります。


痛くない場合:

1)術者が弱刺激を選択した

2)患者が痛み鈍感

3)患者が慣れている

4)臀部など脂肪が多い場所etc...


痛い場合:

1)術者が強刺激を選択した

2)患者が痛みに敏感

3)患者が慣れていない

4)指の先や足の裏などetc...


以上のようになります。術者の選択による強弱の違いは単純なもので、患者の症状や体質によって刺激量をかえていきます。例えば、脳卒中後遺症(脳梗塞による片麻痺)に対する鍼処方「醒脳開竅法 (せいのうかいきょうほう)」は強刺激と決まっているため、「無痛の鍼」というわけにはいきません。


次に、患者が痛みに対して敏感かどうかでも鍼施術に対する反応が変わってきます。また、慣れているか慣れていないかで、効果の目安となる「得気(皮下に針先が入った後の重だるい、痺れる、張った、筋肉痛のような感覚)」を「痛み」と感じてしまう場合があります。


実は、「痛いか痛くないか」が一番重要ということではありません。「効くか効かないか」が一番重要です。先ほど例に挙げた「醒脳開竅法 」は刺激量、刺激方法ともに定量化がすすんでいます。決められた手技(刺激量、刺激方法)をせずに、「痛いか痛くないか」だけを重視した間違った患者第一主義では本当の治療成績が得られるとは思えません。


昨今叫ばれている「オーダーメード処方」とは、必ずしも「痛いか痛くないか」だけに比重をおいた「無痛の鍼」ではありません。患者の症状や体質にあわせた「鍼施術」が「オーダーメード処方」です。


術者のすべきことは、患者に十分に説明をし、なるべく決まった方法を行うこと。そして、慣れていない患者には「弱刺激」から開始し、「本来の刺激量」まで徐々に刺激を上げていくことが重要です。


鍼施術に際して、「痛いか痛くないか」だけで鍼療法を考えることはやめましょう。

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