鍼施術によって起こる生体反応
鍼の効能自体はまだすべてわかっているわけではありませんが、鍼をすると、血流がよくなったり、免疫力が上がったりすることがわかっています。
鍼は侵害刺激と言って、組織の損傷を引き起こす刺激(ケガ)です。組織を損傷(傷をつける)させることによって、血流が増加して侵害刺激を洗い流そうとしたり、免疫細胞がやってきて攻撃をはじめたりします。この生体反応がおきることによって、痛み物質の消失や免疫力の上昇が起きるわけです。
鍼の効果:
ゲートコントロール…針刺激が脊髄において痛みを抑制する。
エンドルフィン…針刺激がモルヒネ様鎮痛物質の遊離を促し痛みを抑制する。
末梢神経の遮断効果…針刺激が末梢神経の痛みのインパルスを遮断する。
経穴(ツボ)の針刺激による痛覚閾値の上昇による鎮痛効果。
血液循環の改善…筋肉の緊張をゆるめ血行状態を良くする。
なぜ細い鍼を使うようになったか?
一般的に侵害刺激であれば大小問わずこの生体反応がおきるわけですが、侵害刺激の程度が大きければ人体への負担も大きいため、必要最低限の負担(刺激)で最大の効果を発揮することが望まれます。こういった経緯から、微小な傷を組織に付ける方法として「鍼」が選択されてきたという歴史があるわけです。
鍼と聞くと注射鍼を思い浮かべる方がいらっしゃいますが、現在普及している鍼灸鍼は毛髪程度の細さしかありません。一般的に使用されている鍼は0.16~0.24mmφ程度の太さしかありません(0.12mmφ、0.14mmφも存在します)。また弾力に富んでいて、注射針のように硬さがあったり、薬液を注入するための管が内部にあるわけではありません。
そのため、皮膚を貫く時に若干痛みを伴うことはありますが、傷跡が残ったり、太い神経や血管を傷つけてしまうこともありません(鍼先は切り裂くために出来ていない)。
さいごに
鍼は侵害刺激に過ぎませんが、「鍼」を使うことによって極力リスクを抑えることができます。また、鍼は自然療法です。副作用はほとんどありません。もちろん、薬との飲み合わせもありません。