鍼で筋力が戻るメカニズム。リハビリや筋トレ併用で効率的な筋肥大を目指しましょう。

鍼で筋力が戻る?

よく「鍼をした後に筋力が戻りました。」と言われることがあります。筋持久力や瞬発力の向上なども効果として実感できることが多々あります。しかし、筋力とは言っても、単純に筋肉が太くなったりしているわけではありません。ではどういった作用が働いて筋力が戻るのでしょうか?


筋力とは?

筋力は、筋量(量的:筋肥大性要因)とその動員数(質的:神経性要因)によって発揮されます。①筋肉がいくら太くても神経の伝達が非効率的であったり、②神経の伝達がよくても筋肉が疲労していたり③何らかの原因で筋肉自体が細い場合、筋力は十分に発揮されません。


例えば、

①変形性脊椎症などで神経が圧迫されていて手や足腰に力が入らない。

②スポーツや過度な労働によって体を酷使したせいで、力が出ない。

③もとから痩せている、日頃から運動不足、怪我で寝たきりなどの期間が続いているなど。

etc...


こういった原因で筋力は発揮されなくなってしまいます。


鍼による筋力の回復とは?

筋肥大は筋肉に負荷を与えた際に出来る傷を修復する過程で起こる現象です。筋肥大は環境適応の一つと考えられるため、負荷の大きさや、トレーニングの方法や種類によっても結果が変わります。もちろん十分な栄養摂取も必要です。


鍼を刺すことによって筋肉に微小な傷をつきますが、筋肥大を起こす程のものではありません。そのため、細くなってしまった太ももを太くしたり、もとから細い筋肉を太くするようなことは出来ません(③のケース)。しかし、①や②のようなケースでは鍼による筋力回復が望めます。


神経が圧迫されてしまっている場合、圧迫されている神経は栄養不足状態(血流低下、循環不全)となり、本来の機能を発揮できません(一度に動員できる神経や筋肉が少ない)。これが筋力低下の原因です。圧迫されている局所や、関係する神経支配領域に鍼をすると、神経の血流量が改善し、本来の機能を取り戻します。これが筋力回復のメカニズムです。


また、筋疲労によって本来の力が発揮できない場合、鍼を局所に刺すことによって、血流が改善し、疲労物質の洗い流しや栄養不足状態が解消されるため、回復が促進されます。


運動や筋トレの併用は有効

筋肉や神経が本来の機能を取り戻すことによって筋力が戻ります。本来の機能が発揮できる状態になった後には、運動や筋トレを併用することによって効率的に筋量を増やすことが可能です。また、本来の機能が回復が出来ていない状態では、動員できる筋肉量が十分ではないため、機能回復→トレーニング→筋肥大の順番を守ることが重要なポイントです


加齢や運動不足に伴う筋力低下は、容易に筋疲労を引き起こします。筋疲労や筋力低下から、背骨を支えられないと脊椎に変形が起きたり、痛みが出てきます。年齢を重ねても筋力維持をすることは重要です。高齢者の脊椎側湾なども運動や筋トレ併用により予防などが可能となります。頑固なしびれや痛みが出る前に、鍼によるケアや運動や筋トレを試してみましょう。


最後に

現代では、医療職種も専門性があがり、多岐にわたるようになりました。また代替医療が提起されてからは、鍼灸も代替医療の一つとして、治療選択肢の一つとなりました。医科だけ、リハビリだけ、代替医療だけといった従来の考え方ではなく、その人(またはご自身)にあった医療を選択することが生活の質を維持するために重要となってきています。


鍼灸は「鎮痛」や「神経系統の回復促進」などに応用されていますが、前述したように運動療法などを併用しなければ「筋肥大(筋肉が太くなること)」は出来ません。しかし、痛みや疲労、神経の栄養不足などが基礎にあると、なかなか運動を行うことは出来ません。こういったケースには、相互作用や相乗効果の観点から他業種連携が望ましいと言えます。


現行の保健制度上なかなか鍼灸自体が病院内で活躍するケースは少ないですが、薬の量(または種類)が多く副作用のリスク(臓器への負担や転倒など)が高い場合や、併用による相乗効果を望む場合など、代替医療の一つとして鍼灸の必要性を感じた場合は、ぜひ試してみてはいかがでしょうか?

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