鍼の健康保険利用時に出来ること出来ないこと
鍼を保険利用出来ないと感じている方も多いと思いますが、健康保険利用、労災など保険取扱いが認めらえています。労災に関しては件数があまり多くないため、健康保険利用で出来ること出来ないことを制度とともにお伝えしていきます。
まず、鍼の健康保険利用ですが、以下の要件を満たす場合に限り健康保険利用が可能です。なお、鍼の施術所によっては取扱いがない場合もあるため、事前の確認が必要です。
健康保険利用の要件:
特定6傷病に該当
保険医の同意書(6か月毎に更新)
現在治療を受けていない(リハビリ、薬、湿布など)
補足)特定6傷病:
リウマチ
神経痛
頚腕症候群
腰痛症
頸椎捻挫後遺症
五十肩
その他の類似疾患(保険者が認める場合のみ)
鍼の費用ですが、1術(はりorきゅう)で1,550円、2術(はりきゅう併用)で1,610円と決められており、自己負担のみでの支払いが可能(受領委任)であれば、1術で155円~(1割)、2術で161円~(1割)で施術を受けることが出来ます。
保険のみと言うと、施術時間や鍼の本数に関して気になる方もいると思いますが、リハビリのように時間が決まっているわけではありません。また、鍼の本数が決められているわけでもありません。同意傷病に対する施術行為に対して施術報酬が1術2術と設定されているだけになります。同意傷病が複数あった場合、複数傷病に対して施術を行っても1日の施術報酬は変わりません(部位ごと、傷病事ではない)。
また、鍼の施術報酬を運動器リハビリ(185点/1単位、1点=10円)と同じと仮定した上で比較すると、鍼1術の報酬は83%程度となります。1単位が20分となるため、換算すると施術時間は16分程度となります。16分であればそこそこ時間があるのではないか?と考える方もいると思いますが、この施術時間は入室から退室までを想定するため、単純に鍼を刺している時間だけではありません。問診や評価、患部を露出したり、人によっては着替えたり、施術者の手指消毒、患部衛生操作などが含まれます。また、リハビリのように一日2単位(40分)算定することは出来ず、1日1回となるため、時間的な猶予はなく16分間で全工程を終えなければいけません。また、患者着や消耗品を多く使用する場合はより制約が厳しくなります。
こういった理由から、保険のみで出来ることは非常に限られます。保険のみの利用を検討されている場合は、こういった出来ること・出来ないことも理解した上での利用をおすすめしています。
なお当院では健康保険利用は可能ですが、健康保険利用のみでの取扱いはしておりません。当院での健康保険利用を希望する場合は事前にご相談下さい。