鍼の反応は脳を介して対側まで届く。局所だけに留まらない鍼の効果。写真を参考にして。

鍼の反応は局所性?全身性?

鍼灸には様々な流派があり、ツボ一つとってもその効能や位置にも諸説あり、治療体系や施術方針なども多様性があります。


「ツボを刺激することによって全身調整をすべき。」であったり「解剖生理学に基づいて障害のある部位(局所)に鍼をすべき。」という両極端の意見がでることがありますが、はたして鍼の運用方法はどうすべきでしょうか?


実際のところ、鍼の刺激は、生体に対し「局所性」にも「全身性」にも作用していて、複雑な反応を引き起こします。


鍼の作用~腰痛を例に~

昨日、左側の腰痛に対し、鍼をしてもらいました。下に鍼をした直後の画像を載せます。画像のモデルは私です。


1)オリジナル画像




2)見やすく加工した画像



1番目の画像は、加工前のものです。2番目の画像は、見やすいように調節・強調(加工)したものです。ぽつぽつと痕がある方(体の左側、写真では下の方)が鍼をしたほうです。「軸索反射(じくさくはんしゃ)」という反応が出て、皮膚が赤くなっています(局所の血管拡張による循環改善)。


また、鍼を刺していない右側のまったく同じ部分も赤みを帯びています。画像から血流が改善しているのが分かります。実は、「軸索反射」は局所性の反応のため、対側にまで反応が出ることはありません。対側や遠位に反応が出る場合は、脳を介した全身性の反応が考えられます。


鍼にはこういった複雑な作用機序があるのです。


鍼刺激による反応の利点~温めるを例に~

鍼刺激によって引き起こされた体の反応には、様々な利点があります。


体の反応は、ホメオスタシス(生体恒常性)という体の調節作用の一環です。気温が高くなれば、体温を下げるために汗が出たり、、、こういった反応と同じものです。この調節作用を、自分自身でコントロールすることは困難です。汗が止まるように念じれば汗が止まるということはありません。


患部を温める際に電気温熱器やホットパックなどを使用するケースが多いとおもいますが、、、表面から温めると、皮膚温は上昇し、自分自身でも温まっていると感じます。しかし、実際の深部の温度は、体表よりも低くなっている場合が多々あります。それは何故でしょうか?


体の意に反して外から温めた場合、体は「冷まそう」として深部の温度を一定に保つような反応(ホメオスタシス)を起こします。そのため、皮膚温が上昇しても、内部の温度はあまり変わらないといったことが起こります。実は深部まで温めるには、このホメオスタシスを超えた「熱さ」が必要となります。


しかし、ホメオスタシスを超える(体が冷やそうとするよりも過剰に温める)刺激を行うと、火傷などを引き起こすため、外部から深部まで同様に温めることは中々簡単ではありません。


鍼刺激の場合はどうでしょうか?鍼刺激によって、体のスイッチ(ホメオスタシス)が入り「温める」という方向に舵が取られれば、(体表のみならず深部まで)血管が拡張し循環が改善していきます。ホメオスタシスに沿った反応のため、無理が無く、負担もかかりません。こういったホメオスタシスによる調節作用は理想的な反応といえます。


最後に

鍼の作用は、まだ全て解明されていません。そして、ツボの性質も完全にはわかっていません。しかし、鍼の作用は局所に留まらず、脳を介した反応を引き起こしたりと複雑であることが徐々にわかってきています。


とくに、ホメオスタシスに沿った鍼刺激による体の反応は、無理なく、負担も少ないため、非常に有用です。興味のある方はぜひご相談下さい。

最新記事

すべて表示

平素は当院をご利用いただきありがとうございます。 夏季休暇を下記のとおり頂いております。 サイト内告知が遅くなり申し訳ございません。 夏季休暇中は、電話は繋がりませんが、メールは対応可能です。 何かありましたらメールにてご連絡下さい。 夏季休暇: 令和4年8月11日~18日

鍼をすると、自律神経の副交感神経が優位になり「リラックス状態」になると言われています。そのため、鍼を刺したままベッドで安静にしている「置鍼・留鍼(ちしん・りゅうしん)」の最中には眠ってしまう方が多い印象です。よくカーテンの向こうからイビキが聞こえてきます。 「鍼を刺したままで痛くはないのか?」という質問を受けることがありますが、鍼が刺さった後は「するどい痛み」が持続することはありません。少しずーん

私は「絶対に治します。」「絶対に治ります。」「すぐ治ります。」とは明言していません。中には、「よくない鍼灸師(施術者)だ」と感じる方もいるかもしれません。 よく「同じ病気で悩んでいる患者さんは来られますか?」という質問をされます。病気だけで一括りにすると「はい。来ます。」と答えが出やすいですが、患者さんが本当に聞きたい答えは「来るか?来ないか?」といった簡単なものではなく、「その方はどういった経過