top of page

鍼の同意書が必要な治療院?と不要な治療院?

鍼の健康保険利用には同意書が必要

鍼の健康保険利用には医師の同意書が必要です。口頭による同意ではなく、書面による同意が必要です。6か月ごとの更新制ですが、利用可能期間の定めはありません。


たまにですが、「おたくでは同意書が必要らしいけど、他では同意書なんていらなかったよ!」であったり、「それなら同意書のいらない他院にいきます。」と言われることがあります。


前述のように同意書取得の要件は個々の施術所によって変わることはありません。A鍼灸院だから同意書が必要、B鍼灸院だから同意書が不要ということはありません。全国どこの施術所でも鍼で健康保険利用する場合は、まず患者さんご自身に医療機関を受診またはかかりつけ医の診察を受けた上で同意書を取得していただく必要があるわけです。


もしかしたら鍼以外で健康保険利用していませんか?

一つ考えられることは、鍼の健康保険利用ではなく、接骨院(ほねつぎ・整骨)での健康保険利用に鍼施術分が自費で上乗せされている場合です。こういった場合、「(鍼以外で)健康保険が利用出来ている状態」のため、人によっては鍼で健康保険利用出来ていると誤った認識をしているかもしれません。


接骨での同意書取扱い

  • 医師の同意書不要:捻挫・打撲

  • 医師の同意書必要:骨折・脱臼


患者さんにとっては健康保険利用出来ていれば、どういう状況で健康保険利用をしているか?あまり興味のない方もいると思いますが、施術所における療養費の支給申請(レセプト)では患者さん(または世帯主・被保険者)の署名又は押印が必要です。


申請者は患者さんご自身ですから、実際にどういった内容で施術(鍼灸・ほねつぎ・マッサージ)を受けているか?何日通院しているか?どういった傷病名がついているか?を確認して頂いた方が後々のトラブルを回避するためにも必要不可欠であると言えます。


その他に健康保険利用の注意点としては、接骨院では「急性外傷の取り扱い(打撲・捻挫・骨折・脱臼)」という点です。単なる肩こりや筋疲労、高齢者に多い加齢による変形性関節症や変形性腰椎症による慢性疼痛は含まれていません。また、3か月を超える傷病は、内科的疾患の可能性や慢性疾患が考えられるため、理由なく健康保険利用することはできません。


接骨院・整骨院で健康保険利用が認められてるもの

  1. 急性または亜急性の外傷性の打撲・捻挫(いわゆる肉離れを含み、挫傷を伴うこともある)

  2. 骨折・脱臼(応急手当の場合は医師の同意は不要ですが、応急手当後の施術には医師の同意が必要です)国民健康保険を使用して柔道整復師(整骨院・接骨院)の施術が受けられるのは、外傷による骨折や脱臼、捻挫、打撲に限られ、しかも、骨折・脱臼については、あくまでも応急処置として認められた場合に限られます。


接骨院・整骨院で健康保険利用が認められていないもの

  1. 仕事や家事などの日常生活による単なる疲れ、肩こり、腰痛、体調不良などに対する施術

  2. スポーツによる筋肉疲労、負傷原因が不明の筋肉痛に対する施術

  3. 神経痛・リウマチ・五十肩・関節炎・ヘルニア等の疾病から来る、痛みやこりに対する施術

  4. 内科的原因による疾患

  5. 打撲、捻挫が治ったあとの漫然とした施術、脳疾患後遺症などの慢性病、症状の改善の見られない長期漫然とした施術、マッサージ代わりの利用

  6. 外科・整形外科で治療を受け、同時期に同じ治療個所について柔道整復師に施術を受ける場合

  7. 神経性による筋肉の痛み(リウマチ・関節炎)

  8. 数年前に治癒した箇所が自然に痛み出したもの等


鍼灸の健康保険利用が認められているもの

  1. 神経痛

  2. 腰痛症

  3. リウマチ

  4. 頚腕症候群

  5. 神経痛

  6. 頸椎捻挫後遺症:ムチウチ

※急性・慢性かは問わない


鍼灸(鍼灸師)も接骨(柔道整復師)もにているような業種ですが、じつは健康保険利用の面では明確に住みわけがされています。例えば、鍼灸師が脱臼した肩をはめたりすることはできません。やってしまうと柔整師法違反や医師法違反になります。


実際に施術所で健康保険利用する場合は、ご自身の利用状況を把握したうえで、適切な施術を受けることをお勧めいたします。

最新記事

すべて表示

頚椎症に対する遠隔取穴の効果

頚椎症に対する「局所取穴」と「混合取穴(局所+遠隔)」の効果を比較した文献「不同远端取穴针刺治疗颈型颈椎病的临床随机对照试验(和訳:異なった遠隔取穴による頚型頚椎病に対する鍼治療のランダム化比較試験)」[1]を見かけたので読んでみました。...

麻痺に伴う代償運動が及ぼす影響

運動麻痺の回復期を過ぎた後、身体機能が悪化していくことがあります。とくに、不完全治癒の場合、加療を中断した後、一定期間が経つと運動機能の低下が生じ、中断時点よりもより悪くなる傾向にあります。その原因の一つが「代償運動(だいしょううんどう)」によるものです。...

五十肩と訴える症例の考察

何らかの原因によって肩関節周囲の軟部組織に炎症が生じると、激しい痛みが現れ 、夜間痛を伴うことがあります。炎症によって軟部組織に強い損傷が生じると、癒着等による肩関節の可動域制限や拘縮が生じると言われています。 これを、「五十肩(もちろん五十代以外でもなる)」や「肩関節周囲...

bottom of page