鍼灸はエビデンスレベルが低い?

鍼灸の臨床研究はエビデンスレベルが低い!とお叱りを受けます。一理あります。では何故エビデンスレベルが低いのでしょうか?原因は?エビデンスって何?エビデンスとは、「根拠」という意味です。エビデンスレベルが低い=科学的根拠のレベルが低いということです。


 臨床研究の一般的な方法は,あるグループAとあるグループBを比べて、何か違いがあることを証明することです。普通は片一方に治療を施して、片一方には何もしない状態で研究を行います。重要なのは何にもしていない状態に比べてどうかという比較です。逆に言うと、治療方法ふたつを比較することは、新治療法と旧治療法の優劣判定以外はあまりしません。どちらが優れているかしかわからないからです。


昨今ではシングルブラインド、ダブルブラインド、トリプル・・・などの目隠しをした状態での臨床研究が主流です。なぜ目隠しが重要なのでしょうか?研究目的がわかると被験者や研究者はどうにかしてよい結果を出そう!と無意識に何かをします。これが一番いけないわけです。


 目隠しの状態って一体なんだ?となると思います。簡単に言うと、例えば被験者はどの介入をされているかわからない状態(例:薬と偽薬)ということです。これは目隠しされた状態だと言えますね。これでシングルブラインドです。実験担当者が誰にどんな介入を行っているかわかっていない状態を足すと、これでダブルブラインドとなります。目隠しのレベルが上がれば上がるだけ質のよい研究となります。無味無臭の薬だと目隠しなんてちょろいもんです。


逆に鍼灸治療はどうでしょうか?鍼は痛くないですか?チクチクしませんか?鍼ってズドーンってきますよね?それだと・・・残念ながら目隠しにならないわけです。現状を打破しようと色々と試行錯誤が行われています。例えば、刺さったか刺さっていないかわからないような鍼をつかう!これだと刺激量としては実際の臨床と違いますね。じゃあ・・・片方はツボに刺して,もう片方はツボと違うとこに刺すか!としていた時期もあります。でも刺しちゃうと刺していないことにはならないので、現在ではあまり使わなくなってきていますね。

 

その他にも鍼の深さは?方向は?刺激量は?刺激方法は?ツボの位置は?ツボの相互作用は?などの要素が研究者の頭を悩ませます。


鍼灸治療の研究は難しいですね。エビデンスレベルの高い研究は必然的に少なくなってしまいます。ただ、間違ってはいけないのは、一概に「エビデンスレベルが低い=鍼灸治療は効果がない。」とは言えないことです。まだ研究の余地があるというのが正しい解釈の仕方です。「より完璧な実験方法」が待ち遠しいかぎりですね!

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