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鍼灸治療効果は患者さんの主観評価だけで「効いたか?効いていないか?」を評価するべきではない。

鍼灸治療をしたとき、一番気になるのは「効いているの?効いていないの?」といったところではないでしょうか?

 

実際の臨床では、鍼灸単独での治療はほとんどありません。というのも、鍼灸治療は保険医療の枠内にはいっていないため、なかなかこれ一本でとはいきません(特定6疾患のみ保険治療可/要医師の同意書/医療機関での重複利用禁止)。そのため、果たして「鍼灸でよくなっているのか?」「薬でよくなっているのか?」「自然に治っていっているのか?」というと、何とも言えないところもあります(効いていないとも言えない)。

 

では実際鍼灸治療では効いているのか効いていないのか?一体どうなのでしょうか?治療効果というものは、2パターンあります。一つは「自覚している効果」ともう一つは「自覚できないけど他覚できる効果」です。前者であれば、「鍼をしたあとに痛みが減った。」「鍼をしたあとに腕があがるようになった。」というものです。これは非常にわかりやすいため、すぐに効いた!というように実感できます。

 

次は、後者ですが、残念ながら自分ではなんだかよくわかんないけれど、検査結果(所見)などにはしっかりとした効果が反映されている場合です。人間とはおもしろいもので、すべてがすべて自分で感じることはできません。例えば、「血圧が高いなと思っていても、実際測ったらなんでもなかった」とか「血圧は高くないと思っていても、実際はすごい高かった」などよくあることです。それと同じで、実際には効果が実感できない場合でも、効果が所見に表れている場合もあります。

 

人間の主観的評価は曖昧ですし、思い込みによって何かしらの効果(プラセボ効果)が引き起こされている場合もあります。これをバイアス(先入観・偏見)がかかっている状態といいます。

 

研究では、バイアスを排除するため、ランダム化をしたり、盲検(ブラインドテスト:どんな介入(治療)を行っているかわからない状態での実験)をしたりします。なぜ研究でバイアスを消すのか?それは、時として非常に強い作用(プラセボ効果)があるからです。また、バイアスがかかっている状態ほどあてにならないものはないのです。

 

臨床においてはどうでしょうか?実際のところ、少なからずプラセボ効果がかかっていると言えます。そのため「どうせ効かないだろう」と思いこんだ場合は、負の効果が起きる場合があります。もし一度鍼灸治療を決心したら、いったん信じてみましょう。研究論文などがある場合は、おおいに参考にすべきだと思います。そして、治療効果を自身の実感(主観評価)だけに頼らないようにしましょう。一定期間継続をしてみて、主観評価と客観評価で総合的に判断することが重要です。「1回でよくならなかったから」「何の変化もないように感じたから」と言った理由で1回・2回で治療を打ち切るのはナンセンスだと言えます。

 

逆をいうと、私達治療者側も、患者さんの主観だけを頼りにして治療評価を行うべきではありません。

 

退行性・進行性の疾患では維持(または症状の遅延)が目的になるため、なかなか効果としては実感しづらい場合が多いと思います。そのため、事前に担当する鍼灸師の方にしっかり話を聞いて、もし質問があれば、すぐに聞きましょう。

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