top of page

鍼灸治療(三焦鍼法)による認知症治療:臨床研究論文からわかること

当院でも提供している「三焦鍼法」の臨床研究の日本語訳をサイト内に数編載せました。(PCサイト)「特徴」ー「三焦鍼法ー研究論文のアブストラクト~」から閲覧できます。

1)鍼治療による軽中度血管性認知症治療の臨床観察

2)鍼と投薬併用による軽中度血管性認知症患者治療の83例

3)三焦鍼法と黄地散併用による血管性認知症治療のランダム化対照研究

4)三焦鍼法による軽中度アルツハイマー病治療のランダム化対照臨床研究

 

今回取り上げた研究論文(中国)は、投薬治療との比較を行った研究論文です。鍼灸による認知症治療に興味のある方にとって一番の関心事は、「本当のところどうなの?効くの?効かないの?」だと思います。翻訳した研究論文の内容は「総合治療(鍼灸+漢方) 鍼灸治療 投薬治療」または「鍼灸治療 投薬治療」の比較となっています。研究目的は、「果たして鍼灸治療は投薬に比べてどうなのか?」といった点と「果たして鍼灸+漢方治療は鍼灸治療単体、投薬単体に比べてどうなのか?」「どういう治療パターンが最適か?」といった点です。

 

今回翻訳した、4篇の論文の内容を要約すると、「総合治療が一番有効で、鍼治療は投薬治療と同等かそれ以上。」「鍼治療は週3回が基本」といった感じです。使用されている漢方処方は現時点で市場で出回っていないことなどから当該漢方処方について今回は触れませんが、鍼治療と投薬を中心に雑感を書いていきたいと思います。

 

まずはじめに断っておきますが、認知症治療において、鍼灸治療で完治できるということはほとんどないと思います。というのも、前駆症状である軽度認知障害の状態では、回復が望めますが、一歩進んですでに認知症となってしまった場合は、鍼灸治療に限らず現代医学的では完治は望めません。しかし、周辺症状などの軽減や、病状進行の遅延化などを目標として治療を行います。「生活の質(QOL)が向上し、より豊かな生活が送れるのではないか?」といった点がキーポイントとなります。

 

鍼治療と投薬(日本では医師が処方)の関係ですが、(主に中国では)臨床上はどちらも積極的に使われています。私は日本においてもそうあるべきだと考えています。極端な話ですが、「西洋薬+漢方(中薬)+鍼治療」も十分ありだと考えています。とくに鍼治療ですが、基本的には「易感染」であったり「易出血(大量)」以外の方には積極的に使用可能です。その他に薬と違い、肝臓や腎臓に負担を与えたり、飲み合わせという面も心配ありません。そのため、可能であれば「鍼治療を併用する」ことをおすすめしています。鍼が効果的であれば、必然的に投薬量も減らすことができます。投薬量が減ると「治療に対する余力」が残ります。これも一つの考え方です。

 

ただ、一つ大きな問題として、鍼灸治療は原則的に自費診療ですので、病院などよりも負担割合は多くなります。認知症に関しては、保険による鍼灸治療はできません。そのため、初診時に「通院回数は、週に3回以上がよい。」ことを先に申し上げますが、利用者さんの諸事情によって通院ペースが変わってくるとおもいます。強制はできませんので、個人にあったペースで通院していただければと思っています。また、当院では通いやすいような工夫も行っています。

 

工夫に関してですが、当院では、「予約制」で「鍼施術のみ」を提供していることが特徴です。「予約制」採用の理由は、出来る限り通院時の待ち時間を減らして、通いやすくすることを念頭において運用しています。つぎに「鍼施術のみ」ですが、「鍼施術」に特化しているため、メニュー数はいたってシンプルな「初診か再診か」「(仰向け・うつ伏せ・横向きから1姿位か2姿位か)」だけとなっています。基本的な料金は3000円(1姿位)となっています。「三焦鍼法(認知症治療など)」は基本的に1姿位で十分ですので、基本的には3000円(初診は+2000円)で1回の治療が可能です。そのため、「当院の2姿位分5000円(3000円+追加料金2000円)=ほか治療院の1回分」といった形ですので、通いやすい料金体系となっています。

 

当院院長は、中国天津に4年間留学し、三焦鍼法の開発者である韓景献教授の外来にて補助をしながら勉強をしました。当院では「同じ方法」を提供しています。ブログやホームページなどを閲覧して、「興味がある」または、「聞きたいことがある」などの場合はメールや電話などで気軽にお問い合わせください。

最新記事

すべて表示

末梢性顔面神経麻痺において、「単なる神経の機能不全による神経麻痺」なのか、「神経断裂が生じている神経麻痺」なのかでは、治療に対する考え方が大きくことなります。主な臨床症状はどちらも「顔面神経の損傷による表情筋の運動麻痺」ですが、実は性質が大きく異なります。 末梢性顔面神経麻痺の予後判定にはENoG検査が用いられます。これは、非麻痺側と麻痺側を比較し、「神経の活きている割合」を客観的に調べる方法です

末梢性顔面神経麻痺の鍼治療において、麻痺からの回復自体をサポートすることはもちろんですが、表情筋の拘縮等の後遺症を起こさないようにすることも治療目的の一つです。当院では、必要に応じたセルフケアの指導(後遺症予防)を行っています。ただし、すべての症例において、一回二回の施術で劇的に麻痺が改善するというわけではありません。中等症・重症例の場合は動きが出てくるまでに、数カ月掛かることがあります。 人によ

末梢性顔面神経麻痺ではENog検査(誘発筋電図検査、客観評価)と柳原法(表情をつくってもらいながら程度を観察して調べる方法、主観評価)で主に評価を行います。顔面神経麻痺発症から徐々に機能が失われていき、一週間過ぎた辺りがピークとなります。ピークに合わせてENog検査を行い、生きている神経がどの程度か?を評価します。10日~14日程度に行ったENog検査の数値は信頼性が高いと言われています。 末梢性

bottom of page