頭のてっぺんには「百会穴(ひゃくえ)」というツボがあります。両耳の一番とがったところから線を引いて、正面からみて真ん中、まさに頭のてっぺんにあるツボです。このツボは、臨床でも良く使います。また、子供の頃いたずらで、誰かの頭のてっぺんを押して、「これで下痢(便秘?)にしてやった」とかなんとかそんな遊びもあったような気もします。
この百会穴ですが、督脈という経絡上にあります。督脈は人体の後ろ側の中心(背骨の上)を走る経絡で、ツボはおしりの付け根から頭をぐるっと通り越して口の方まであります。経絡とツボの関係は密接ですので、経絡走行上の問題に対してもツボを使ったりします。局所として頭に対する治療効果を期待して、百会を使うことも当然あります。
「百会」というツボは、「気を落とす」という風に言われています。肩井と言う肩がこった時にトントンと触ってしますツボも「気を落とす」と言われています。古典的には、妊婦さんには流産の可能性があるから使用しないようにと言われていますが・・・真相は定かではありません。こういった「気が落ちる」ということから、もしかしたら気を下して下痢しちゃうとかそういった話から「子供のいたずらの流れ」に発展していったのかもしれません。
「気が落ちる」と「百会」の関係ですが、肝経という経絡が最終的に頭上まで届きます。この肝経ですが、肝は「のぼせ」「怒り」「高血圧」などと関係しているため、「百会」を使って昇ってきた「肝陽」を沈めたりなどの効果もあります。また、督脈は陰陽で言えば「陽気」が多いため、このような「気が高ぶったり」などに対する鎮静効果を発揮するには「百会」を使うことが多いといえます。
そのほかに処方する意義として、
1)脳病など頭に関する症状(脳卒中、認知症など)
2)気を落ち着かせる(不安など)
3)のぼせなどを取る(自律神経失調など)
4)鼻づまりなどに使う(慢性鼻炎など)
5)めまいなど(頚椎症など)
以上のことかもわかるように、常用穴の一つです。なかには、「頭に鍼を刺されるのは怖い」と心配の方もいるかと思いますが、頭部は頭蓋骨があるため、人体のなかでは比較的安全な場所です。出血はしやすいため、十分注意をすれば、何も問題はありません。
頭がスッキリしないという時には、一度頭のてっぺんを撫で擦ったりしてスッキリさせてみるのも良いかもしれません。