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  • 執筆者の写真三焦はり院

特発性顔面神経麻痺(ベル麻痺)では痛みがない?でも耳の後ろが腫れたり、風邪を引いているような気も、、、もしかしたら「ラムゼイ・ハント症候群」かもしれない!?

ベル麻痺(特発性顔面神経麻痺)など末梢性の顔面神経麻痺では、顔面部に痛みが出ることはありません。顔面神経は顔面部の感覚支配(痛みを含む)に関与していないせいです。そのため「顔面神経痛」という医学用語は存在しません。


俗に言う「顔面神経痛」は、正確には「三叉神経痛(さんさしんけいつう)」といいます。顔面部の感覚は三叉神経によって支配されているからです。実際「顔面神経痛」で通じるか通じないかというと、、、「顔面神経痛」でも通じます。我々は「顔面神経痛がある=顔面部に神経痛がある」という意味だと解釈しています。


顔面神経は第7脳神経で、表情筋(口をすぼめたり、笑ったりする表情を作る筋肉)のほかに、味覚や、聴力を調整する筋肉に作用します。


そのため、顔の表情が作りにくいこと以外に、「ものを食べるとツルツルしている」「音が響く」といった症状がでてきます。

もし、顔面部以外、例えば「耳の後ろが腫れていたり、顔面神経麻痺の症状が出る前に風邪を引いた」ような症状があれば、ベル麻痺ではなく、ウィルス感染による顔面神経麻痺を疑います。


ウィルス性の顔面神経麻痺は「ラムゼイ・ハント症候群」といって、一般的に治癒率は低く、後遺症が残る可能性が高いといわれています。そのため、上記の症状が出た場合は、医療機関の受診を後回しにしないようにしましょう。


一般的に顔面神経麻痺の回復期は発症から半年と言われています。顔面神経麻痺に鍼灸治療は併用可能です。鍼灸治療によって、表情が作りやすくなったり、回復が早まったりといったことが報告されています。もし環境が許すのであれば、早期から導入してみてはいかがでしょうか?

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