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  • 執筆者の写真三焦はり院

痛み軽減には継続した施術を。健康保険利用時には積極的利用を。併療はご法度。

通院間隔はどのように考えるべき?

鍼施術を受ける上で、通院間隔は気になるポイントのひとつではないでしょうか?当院では、まずは週2回で様子を見ます。痛みが強ければ回数を増やしたり、痛みが弱まれば回数を減らしたりします。ただし、月に1回程度ではなかなか改善しない場合が多いため、ほとんどのケースで週1~2回をおすすめしています。


また、痛みが強い場合は、事前予約の日時に関わらず、来院することをおすすめします。理由としては、早めのケアをしたほうが改善しやすい場合が多く、無理にがまんをして、次回の予約日まで待つメリットがないからです。


また、痛みが続くと、脳が痛みを学習してしまったり(中枢性の痛み)、痛みを恐れて動かさなくなったり、痛みの悪循環(痛み物質が循環不良をおこし、痛みの産生環境を作り上げる)を起こしたりします。こういった慢性疼痛を悪化させやすい環境を作らないような通院間隔が大切です。


こういったこと言っていませんか?

再診時も外来ではまず簡単な問診をします。「痛いのに我慢した、、、。」「痛くなったけど今日まで待った、、、」「数日痛みがなくなるけど、それからは、、、」こういったことを無意識に言っていませんか?とくに、ご自身で通院間隔を決めている方に、この傾向が多い印象です。


鍼灸師は、患者さんに通院間隔をアドバイスしたり、鍼施術をすることは可能です。しかし、通院するかしないかは患者さんに掛かっています。もし、通院間隔が適切ではない場合は、一度ご自身の通院間隔を改める必要があります。


鍼灸は、病院で処方される薬とおなじように、用法用量(刺激)を守る必要があります。一日3回飲まなければいけない薬を勝手に減量したり、勝手に間隔をあけたりしてはいけないことと同じ理屈です。


ポイント:

  1. 痛みを我慢をする必要はありません。⇒痛みの軽減が目的では?

  2. 予約日まで痛みを我慢する必要はありません。⇒予約は利便性のためにあります。

  3. 痛みが再度出始めたら、悪化させる必要はありません。⇒継続したケアを!


勝手に併療をおこなってしまうケースは健康保険利用を打ち切ります

健康保険利用されている方で、鍼を受けずに、医療機関で薬を処方してもらったり、トリガーポイント注射を受けたり、湿布をもらったり、、、なかには、慢性疼痛なのに整骨院へいったり(整骨院は急性外傷のみです。)こういったケースがたまにあります。


こういった「併療(重複利用)」を行なうと、鍼灸の健康保険利用は出来なくなります。もちろん重複した期間(薬の処方期間はその日数)は「全額自費負担」となります。鍼で健康保険利用をするということは、「鍼で症状を改善を一定期間目指すこと(継続施術)」が原則となります。


また、健康保険利用前に同意書取得が必要ですが、保険者(患者さんが加入している保険組合)は、この同意書を以って「保険医による適当な治療手段のないもの」として支給を決定しています。


そのため、患者さんが勝手に併療した場合、保険者は、「治療手段を鍼灸に切り替えたはずなのに、なぜまた病院で治療をおこなっているんだ?まじめに鍼灸を受ける気がないな、、、」という解釈をします。そして、こういったケースが続くと「頻繁に病院で薬をもらうくらいだから、じゃあ鍼は意味ないか、、、鍼はうちきり。」ということに繋がるわけです。


そうなると、施術をする鍼灸師、そして同意書を発行するドクターにも迷惑がかかり、「この患者さんの健康保険利用はやめよう。」という流れになります。また、鍼灸師を替える際も「同意書の再取得」が必要となります。そのため、たかが鍼施術ですが慎重な運用が求められます。


ポイント:

  • 支給決定の権限は保険者に任されている⇒ルールに従わないと不支給

  • 同意の権限はドクターに任されている⇒不適な場合は同意が得られない

  • 施術の権限は鍼灸師に任されている⇒不適な場合は健康保険での施術を見合わせ


さいごに 

鍼を受ける際は、しっかり適切な方法、用法用量で鍼を受けましょう。こうすることで初めて「鍼を受けた」ことになります。自己判断で運用することは症状悪化を引き起こす原因となります。また、健康保険利用時には、継続した鍼施術を受けて下さい。


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