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あなたのその腰痛の原因はどこ?

腰が痛くなった時、おそらく「(無資格含め)マッサージやエステでもいこうかな?」と思うことって多いと思います。中には、鍼灸で著効した経験から「はりでもしよう!」という方もいるかもしれません。大体の腰痛は、筋・筋膜性のものが多いと思いますが、ただ、年齢を重ねていった場合、筋・筋膜性の腰痛とは一概に言えない可能性があります。

 

みなさんが「腰痛持ちで・・・」と言う場合、これは「症状」を指していることになります。ただ、医療関係者からすると、「医療施設でしっかり検査したかどうか?」が一番気になるところです。特に、我々鍼灸師は診断権を持っていませんし、院内にMRIやX-rayなどの画像設備があるわけではありませんので、非常に気になるところです。慢性疾患などで、すでに整形外科などで検査・診断を経ている場合は安心ですが、中には病院嫌いの方もいらっしゃるようで、第一選択が病院・クリニックとはならない方も中にはいます。

 

鍼灸治療は、筋・筋膜性の腰痛には効果を発揮します。鍼が刺さった筋肉の血流量が上がり、痛みの緩和や回復の促進が行われるからです。これは機能性の改善と言えます。逆に言うと、例えば「筋・筋膜性の腰痛」と考えて鍼灸治療を一定期間継続して、「全く改善されない」とか、「逆にどんどん悪化した」とか、「安静にしていても痛いとか」、「呼吸するたびに痛い」とか、そういった場合は、鍼灸治療が効果がないのではなく、おそらく不適応か、原因が筋・筋膜にない可能性が十分に考えられます。

 

症状は「腰痛」として出てきていますが、中には、「骨粗しょう症による骨折が原因の腰痛」であったり、「内臓病変から背中に痛みを感じている場合」など様々です。悪性腫瘍(がん)の転移や結石でも腰痛がでるわけですから、「腰痛」と言っても、甘くみてはいけません。

 

有資格マッサージでは問題はないと思いますが、例えば、骨粗しょう症の方が、素人が施術をしている慰安(無資格)マッサージ・エステ・カイロなどで、腰痛治療をした場合どのようなリスクがあるでしょうか?体重をかけられて腰椎圧迫骨折になったら笑えません。何か体の異変を感じた場合は症状だけをみず、まずは適切な医療機関を受診してください。検査・診断後、筋・筋膜性腰痛と判明した場合(俗に言う骨には以上ありませんよ)は、鍼灸治療などをおすすめします。腰椎症などでも、レントゲン像の重症度と痛みの程度はあまり関係ない場合も多く、むしろ軟部組織に問題がある場合もあります。これも鍼灸適応となります。また、鍼灸治療では「鍼麻酔」などもありますので、投薬などと平行して除痛を行うことも可能です。

 

今回は腰痛を例にとって、症状と疾患の話をしました。みなさんも十分に注意しながら、健康を増進していきましょう。

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