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  • 執筆者の写真三焦はり院

医科併療は原則不可。鍼灸で健康保険を利用する際の注意点。療養費不支給の際は全額自己負担となります。

健康保険利用による鍼灸施術希望の方は多いと思います。鍼灸院などの施術所も病院や診療所と同じように保険医療機関だと考えている方が多い印象です。しかし、現行では、施術所で取り扱える保険適応範囲は限られているのが現状です。


鍼灸であれば特定6傷病(慢性疼痛)+α(保険者判断による類似疾患)、整骨であれば急性外傷(打撲・捻挫・骨折・脱臼)が保険適応範囲となります。また健康保険利用には「医師の同意書」が必要です。※打撲・捻挫は応急処置のため不要


よくある質問として、併療した場合、医科(病院・診療所)が優先となるのか?それとも施術所が優先となるのか?というものが必ず出てきます。「保険医による適当な手段がないものとし、療養費の支給対象~」となるわけですから、当然医科が優先されます


医科が優先のため、同意を得ている傷病で医科併療した場合は、残念ながら「はりきゅう分の療養費は支給されません。」。不注意で受療された場合も、原則不支給となります。


なかには、「鍼灸よりも病院の方がいいに決まってるから病院で治療を受けたんだ!」とおっしゃる方もいるかと思いますが、その場合は「鍼灸施術の中断」を行い、医科での治療に切り替える必要があります。


今日は鍼灸、明日は病院、明後日はやっぱり鍼灸と好きなタイミングでコロコロ変えることは健康保険利用の原則に反しているため、保険者判断で不支給となる可能性が高いと言えます。※そもそも「適当な手段がない~」に反する


当院では、患者様一人一人に事前に説明をした後に、未記入の同意書をお渡しします。当然ですが、ご自身で保険医までお持ち頂いて同意書を取得して頂きます。当院から保険医にに同意書への同意を指示することは出来ません。


また、当院では、償還払いのみの取り扱い(窓口立替払い)のため、ご自身で療養費支給申請をして頂く必要があります(用紙は当院でお配りしています)。「支給されなかったらどうしよう。。。」と心配になる方もいるかと思いますが、一般的に健康保険利用の流れ(療養費支給要件)を満たしていれば不支給となることはありません。不支給は、医科併療などの場合に限られます。


病院でも治療を受けたい、、、鍼灸院でも健康保険利用したい、、、ということは出来ません。健康保険利用にはルールがありますります。また、併用の場合は鍼灸は自費となりますが、OTC医薬品(市販薬)に切り替えて頂くなどの方法を取れば、健康保険利用可能(支給要件を満たす)となります。


市販薬より処方薬がいい、、、リハビリは続けたい、、、でも自費鍼灸は嫌だというようであれば、、、残念ながら今までどおりの治療を継続してい頂く以外に方法はありません。


保険医療機関と施術所両方の良いところだけを享受することは出来ない仕組みになっています。健康保険を利用すれば安いから良い!というのは間違いではありませんが、健康保険を利用する際には「療養費(還付金)を負担している保険者」がいることを忘れてはいけません。相手がいるということは、どうしてもルールを守る義務が生じてしまいます。ご自身が負担する立場であったら、必要以上の負担はしたくないはずです。


そのほかに、単なる疲労(肩こりなど)や予防には健康保険は利用できません。ご注意下さい。※そもそも同意が得られません


当院では、健康保険利用が可能です。健康保険利用に関する相談は随時受け付けています。お気軽にご相談下さい。※要事前予約

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