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  • 執筆者の写真三焦はり院

鍼灸師が鍼灸療法を強くおすすめする時としない時。顔面神経麻痺を例に。

更新日:2019年3月4日

鍼療法は、飲み合わせなどもなく、ほとんどの場合で鍼療法を併用することができます。


鍼療法が適さない場合:

1) 極端な易出血傾向

2) 極端な易感染傾向etc...


以上のような、鍼によってリスクが上昇するような場合は鍼を控えることがあります。しかし、ワーファリンなどを使用している方であっても、適切な処置を行えば、鍼療法を実施することが可能です。実際に、脳卒中に対する鍼灸療法がよく行われていますが、出血によって大事に至るということはありません。


ほとんどの場合で応用可能な鍼灸療法ですが、なんでもかんでも鍼をしてしまえばよいか?というと、、、そんなに単純な話ではありません。実はわれわれ鍼灸師は以下のことを考えながら日々鍼灸療法の提案を行っています。


鍼灸師の考慮すべきポイント:

1) その症状に対する鍼の優先度

2) 費用対効果


顔面神経麻痺(ベル麻痺・ラムゼイハント症候群など)を例に挙げると、


〇 鍼が必ずしも優先ではない場合:

1) 急性期でステロイド投与など西洋医学的治療方法を優先すべき時(急性期)


〇 鍼を考慮すべき場合:

1) 薬物療法など西洋医学的治療方法を数週間試したが、あまり変化が起きなかった時(亜急性期・回復期以降)

2) 患者が鍼療法併用を強く望む場合

3) 他の方法は一通りすべて試した


西洋医学的治療方法で変化があまりない場合でも、鍼によって表情がつくりやすくなったり、表情筋麻痺からの回復がみられたりといったこともあるため、方法が他にない場合は、試してみることをおすすめします。


その他に、1週間ほど安静で治る風邪のような場合は、わざわざ鍼灸をする必要性はありません。患者本人の強い希望以外は、コスト面などを考えると、おすすめはできません。


逆に、1~2週間ほど安静でよくなるギックリ腰(病院では筋・筋膜性で、骨に異常なしと言われた場合)でも、痛みが強い場合、可動域制限が出ているような場合は「生活の質(QOL)」を改善するためや、回復を早めるためにも鍼をした方が良いと言えます。


当院では、相談に来られる患者さん一人一人に対し、「本当に鍼灸療法が適しているか否か?」の観点から説明をしています。もちろん、適応の際には鍼をおすすめしますが、それでも取り入れようかどうか悩まれている場合は、一度おうちまで持って帰って、ご家族と相談をして頂き、納得していただいた上で鍼療法を受けて頂きます。


鍼療法も現代医療と同じようにインフォームドコンセントを実施しています。説明を受けた上で治療方法を選ぶのは、患者さんご自身です。鍼灸師も他の医療職種と同じように適切な医療情報を提供し、患者さんの益になるよう配慮しています。


例えば、鍼ではなく、漢方のほうがよい場合は漢方専門医を、内科的治療が必要な場合は、内科を紹介しています。


私の今の症状に鍼はどうか?様々な方法を試したけどどうしようもない、、、鍼がいいと聞いたけど実際どうなのか?そういった疑問がある場合は、お気軽にご相談下さい。


相談だけでも可能です。(対面相談は要予約)※無料



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