top of page
  • 執筆者の写真三焦はり院

鍼灸治療(三焦鍼法)による認知症治療:2018/02/27追加分抜粋

1) 针刺治疗轻中度血管性痴呆临床观察

(鍼治療による軽中度血管性認知症治療の臨床観察)

于涛 石江伟 韩景献

天津中医药大学第一附属医院针灸科

アブストラクト:

目的:軽中度血管性認知症に対する三焦鍼法の治療効果の検討する。

方法:軽中度血管性認知症患者63名を対象としたランダム化比較試験。鍼治療群32名と対照群31名とした。鍼治療群には三焦鍼法を実施し、対照群にはヒデルギンを投与した。治療前と12週間後に MMSE(ミニメンタルステート検査・簡易認知機能検査)とBBS(Bless行為スケール)、SDSVD(中医弁証/中医証候スケール)などの指標を用い、効果を比較検討した。

結果:鍼治療群は治療後に認知能力、行為能力、SDSVDが治療前に比べ、有意に改善した(P<0.01)。対照群は治療後に、認知能力、行為能力が治療前に比べ、有意に改善したが(P<0.05)、SDSVDスコアは統計学的有意差がみられなかった。治療後の両群間比較では、認知能力、行為能力、SDSVDの項目において、鍼治療群は対照群に比べて統計学的に有意であった(P<0.01)。

結論:三焦鍼法は軽中度血管性認知症患者の認知、行為能力と中医証候を改善する可能性が示唆された。三焦鍼法の治療効果はヒデルギンよりも優れている可能性が示唆された。

参考文献:《辽宁中医杂志》 , 2007 , 34 (7) :978-980

2) 针药结合治疗轻中度血管性痴呆患者83例

(鍼と投薬併用による軽中度血管性認知症患者治療の83例)

石江伟 贾玉洁 刘小溪 孟媛 于涛 韩景献

天津中医药大学第一附属医院

アブストラクト:

目的:三焦鍼法と黄地散併用による軽中度血管性認知症患者の治療有効性を評価し、最適な治療方法を検討する。

方法:軽中度血管性認知症患者270名を対象としたランダム化比較試験。総合治療群、鍼治療群、投薬群の3群に分け、各群90名とした。総合治療群には三焦鍼法と黄地散を採用し、鍼治療群は三焦鍼法を採用し、投薬群にはアリセプト(治療薬)を投与した。治療期間は12週間とし、ADAS-cog(認知機能下位尺度)、ADL(日常生活動作)の評価方法にて治療効果を判定した。

結果:

1) 治療後3群の患者ADLスコアは治療前スコアに比べ、有意に改善した(P<0.05)。3群間の行為能力の項目においては統計学的有意差はみられなかった(P>0.05)。

2) 治療後3群の患者ADAS-cogスコアは治療前に比べて有意に改善した(P<0.05)。認知機能の群間比較では統計学的有意差がみられた。(P<0.05)。3群間では、治療12週間後のADAS-cog、認知機能スコアの項目において統計学的有意差がみられた(P<0.05)。その中で総合治療群が他2群に比べて統計学的に有意であった(P<0.05)。鍼治療群と投薬群では統計学的有意差はみられなかった(P>0.05)。

結論:三焦鍼法と黄地散併用は血管性認知症患者の認知機能を改善し、日常生活能力を改善する可能性が示唆された。臨床応用する価値があると考えられる。

参考文献:《南京中医药大学学报》 , 2015 (3) :206-209

3) “三焦”针法与“黄地散”方药联合治疗血管性痴呆的随机对照研究

(三焦鍼法と黄地散併用による血管性認知症治療のランダム化対照研究)

石江伟 孟媛 刘小溪 贾玉洁 于涛 韩景献

天津中医药大学第一附属医院

アブストラクト:

目的:三焦鍼法と黄地散による軽中度血管性認知症(VaD)に対する治療効果の有効性を評価し、最適な治療方法を検討する。

方法:軽中度VaD患者270名を対象としたランダム化比較試験。総合治療群、鍼治療群と投薬群に分けた。各群90名とした。総合治療群は三焦鍼法と黄地散を併用し、鍼治療群には三焦鍼法を用い、投薬群にはアリセプトを投与した。治療期間は12週間とし、MMSE(ミニメンタルステート検査)、CDT(時計描画テスト)およびSDSVD(中医弁証/中医証候スコア)を用いて評価した。

結果:

1) 治療後3群における患者のMMSE、認知機能スコアは治療前に比べて有意に改善された(P<0.05)。3群間比較においては統計学的有意差はみられなかった(P>0.05)。

2) 治療後3群における患者のCDT総合点、執行機能スコアは、群間比較において統計学的有意差がみられた(P<0.05)。その中で、総合治療群は鍼治療群と投薬群に比べて統計学的に有意であった(P<0.05)。鍼治療群と投薬群においては、統計学的有意差がみられなかった(P>0.05)。

3) 3群の患者治療12週間後のSDSVDの項目において、総合治療群は投薬群に比べて統計学的に有意であった(P<0.05)。鍼治療群は投薬群に比べて統計学的に有意であった(P<0.05)。総合治療群と鍼治療群では統計学的有意差がみられなかった(P>0.05)。

結論:三焦鍼法と黄地散併用はVaD患者の中医証候と認知機能を改善し、Vad患者の執行能力を高める可能性が示唆された。臨床応用する価値があると考えられる。

参考文献:《天津中医药》 , 2015 , 32 (7) :401-404

4) 三焦针法治疗轻中度阿尔茨海默病的随机对照临床研究

(三焦鍼法による軽中度アルツハイマー病治療のランダム化対照臨床研究)

贾玉洁 孟丹 孙梦鹿 石江伟 刘小溪 于涛 于建春 张雪竹

天津中医药大学第一附属医院 韩景献全国名老中医药专家传承工作室

アブストラクト:

目的:三焦鍼法による軽中度アルツハイマー病(AD)患者への介入治療効果をアリセプトと比較検討し、有効性と安全性を評価する。

方法:AD患者82名を対象としたランダム化比較試験。鍼治療群と投薬群の2群とした。鍼治療群では週3回の三焦鍼法と偽薬5mg/d投与とし、投薬群にはアリセプト5 mg/dと偽鍼治療を週3回を実施した。研究期間は12週間とし、治療前後に中西医療治療効果判定スコアを用い評価判定を行った。西医判定基準は主にADAS-cog(認知機能下位尺度)、CIBIC-Plus(全般的臨床症状評価)を用い、副次的に MMSE(ミニメンタルステート検査)、ADL(日常生活動作)とNPI(認知症における行動・心理症状スケール)を使用した。

結果:71名の患者が脱落せずに研究が終了した。

1) 2群の患者治療前後ADAScog、ADLのスコアは減少し、MMSEスコアは上昇した。統計学的に有意となった。NPIスコアは加点され、鍼治療群では減少した。統計学的有意差がみられた。

2) 治療12週後、2群のADAS-cog、MMSEスコアには統計学的有意差はみられなかったが、CIBIC-Plus、ADLとNPIでは統計学的有意差がみられた。SDSVDの項目において、鍼治療群の総有効率は68.57%、投薬群の総有効率は52.78%となり、統計学的有意差がみられた。治療中において鍼治療群では不良事故は発生しなかった。

結論:三焦鍼法は軽中度AD患者の認知障害、日常生活能力、神経精神症状と総合的な機能を改善する可能性が示唆された。とくに日常生活能力、神経精神症状と総合機能の項目において、アリセプトよりも優れている可能性が示唆された。安全性も良好であった。

参考文献:《辽宁中医杂志》 , 2017 (9)

最新記事

すべて表示

局所における鍼の持続効果の話

著者は、「鍼の持続効果」に関して、度々質問を受けることがあります。実は、「鍼を刺すこと自体」には、数週間、数カ月と言った中長期的な作用はありません。「直接的な作用」は、刺鍼直後~数時間程度と考えます。「なんだ鍼はその程度しか効かないのか、、、」と感じる方もいるかもしれませんが、厳密には、この「直接的な作用」と「副次的に生じる持続効果」については分けて考えなくてはなりません。 例えば、局所麻酔剤を痛

ボツリヌス毒素・ミラーバイオフィードバック療法併用に関する研究の紹介

前回の記事(やっぱりミラーバイオフィードバック法は大事 (sanshou-hari.com))で「ミラーバイオフィードバック法は大切ですよ!」という話をしました。ミラーバイオフィードバック法は、鏡を見ながら顔を動かす方法ですが、単なる表情筋のトレーニングではなく、中枢(脳)での運動ネットワークの再構築を目標にしたリハビリです。 本稿では、関連する研究として、高橋(2014)による「ボツリヌス毒素・

やっぱりミラーバイオフィードバック法は大事

本稿では、顔面神経麻痺のリハビリの一つである「ミラーバイオフィードバック法」に触れていきたいと思います。 ミラーバイオフィードバック法とは、「鏡を見ながら顔を動かすリハビリの方法」です。主に、口を横に開く「イー」、口を尖らせる「ウー」、ほっぺたを膨らませる「プー」の三種目を行います。 ミラーバイオフィードバック法の目的は「病的共同運動(口を動かすと目が閉じるなど、後遺症の一つ)の予防」です。そのた

bottom of page